乳房(胸)の痛みとは
乳房(胸)の痛みは多くの女性が経験したことのある症状の一つです。その原因は、痛みが発生するタイミングや痛む場所、痛み方によって様々な原因が考えられます。月経(生理)に関連して生じる痛みの場合は、ご自宅で痛みを緩和する方法もありますが、そうでない場合は、一度医療機関で検査されることをお勧めします。
乳房(胸)の痛みの原因
乳房の痛みは、様々な要因によって引き起こされます。痛む箇所、痛み方、痛む時期によって、その原因が異なることがあります。いつ・どこが・どのように痛むのかを知ることで、自身で対処できることもあります。
痛む箇所
痛む箇所が1箇所の場合
特定の部位に限定した痛みは、乳腺の局所的な変化や腫瘤が原因である可能性があります。例えば、乳腺嚢胞や乳腺線維腺腫などが考えられます。
乳腺嚢胞:乳腺組織内に液体が溜まってできる良性の嚢(袋)状の病変で、基本的には経過観察となります。
乳腺嚢胞について詳しくはこちら
乳腺線維腺腫:乳房にできる良性腫瘍の一つで、乳がんに似たしこりとして発見されることが多いです。
乳腺線維腺腫について詳しくはこちら
胸全体が痛む場合
胸全体の痛みは、ホルモンバランスの変化や全身性の疾患が関係していることがあります。月経前症候群(PMS)や更年期障害などが代表的な例です。多くの場合自然に改善しますが、症状が強い場合は、鎮痛剤などの薬を処方することもあります。また、カフェインの摂取を控えたり適度な運動によっても症状を緩和できることがあります。
痛み方
張って痛い場合
月経前や妊娠初期に多く見られる症状です。ホルモンの影響で乳腺組織が膨張し、張りを感じることがあります。
腫れて痛い場合
炎症や感染が原因の場合があります。乳腺炎や乳房膿瘍などが考えられます。
乳腺炎:乳房内の乳腺組織に炎症が起こる炎症性疾患です。早期の適切な処置が肝心です。
乳腺炎について詳しくはこちら
痛むタイミング
生理期間:
月経前後の乳房痛(=胸の痛み)は非常に一般的で、ホルモンの変動が主な原因です。
妊娠中:
妊娠に伴うホルモン変化により、乳房が張ったり痛みを感じたりすることがあります。
授乳中:
授乳期の痛みは、乳腺炎や乳頭亀裂などが原因となることがあります。
更年期:
更年期におけるホルモンバランスの変化が、乳房痛の原因となることがあります。40代後半~50代前半の女性に多く見られます。
乳房の痛みを感じたときは
気を付けるべき兆候
以下のような症状がある場合は、医療機関への受診をお勧めします。
- 痛みが持続的で、日常生活に支障をきたす
- しこりや硬結(こうけつ※)を伴う痛み
- 皮膚の変化(発赤、腫れ、凹みなど)がある
- 乳頭からの分泌物がある
※一般に柔らかい組織が、炎症やうっ血、充血などで硬くなること
受診のタイミング
基本的に、強い痛みや不安を感じた際はすぐに受診することをお勧めします。
特に、上記の気を付けるべき兆候がある場合は、早めの受診が重要です。胸の痛みとともに腫れていたり、しこりを感じたり、乳頭からの分泌物がある場合は、乳房に関係する疾患が考えられるため、卵巣・子宮が専門の婦人科ではなく、乳房の専門である乳腺外科の受診をお勧めします。 もしどの科を受診すればいいかお悩みの場合は、遠慮なく一度お電話にてご相談ください。
胸の痛みと乳がんの関係について
痛みのみで乳がんと決めつけるのは早計
乳房の痛みだけで乳がんを疑うことは適切ではありません。実際、乳がんの初期症状として痛みを伴うことは比較的稀です。しかし、他の症状と合わせて総合的に判断することが重要です。
定期的な乳がん検診が大切です
乳がんの早期発見のためには、定期的な検診が不可欠です。40歳以上の方は、2年に1回のマンモグラフィ検査をお勧めします。
当クリニックでは、京都府・京都市の乳がん検診を受け入れております。 自治体から通知が届いた方は、お早めに検診の予約を入れましょう。
ご予約時には、通知をお持ちの旨をお知らせください。 お電話・WEBよりご予約いただけます。
普段から乳房の状態を意識する習慣を
乳房の痛みだけでなく、乳房の変化に気づけるよう普段から乳房の状態を意識することが大切です。 自身のからだの変化に敏感になり、長期間続く症状や気になる変化があれば、躊躇せず医療機関を受診するよう心がけましょう。
日常的に乳房の状態を意識するブレストアウェアネスについて詳しくはこちら
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医による以下の検査を行い、乳がんとの鑑別を含めた正確な診断を行います。
乳腺外科では、女性医師と女性スタッフが対応します。
「これまではなかなか聞きづらかった」「こんなこと聞いていいのか分からない」のようなお悩みをお持ちの方も、安心して何でもご相談ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
診察(問診・触診)
専門医が症状の詳細や生活習慣などをお聞きし、乳房の状態を丁寧に確認します。これにより、患者さまの状態を総合的に把握します。
不安な症状がある方は、安心してご相談ください。診察の結果、必要に応じて検査を行います。
検査
検査の種類や順序は、症状や年齢に応じて最適なものを選択いたします。
ここでは、乳腺外科でよく行う検査について説明します。
超音波検査(エコー)
痛みがなく、放射線被ばくのない安全な検査です。乳房の内部構造を詳細に観察でき、小さなしこりの発見に優れています。
超音波検査(エコー)について詳しくはこちら
マンモグラフィ
乳房のX線撮影を行い、状態を観察していきます。乳がんの特長である石灰化の有無など、他の病変の検出にも有用です。当クリニックでは、最新機器である3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)を導入しています。
マンモグラフィについて詳しくはこちら
これらの検査を組み合わせることで、乳房全体の観察と、他の疾患(特に乳がん)との鑑別を行います。
検査結果は専門医が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
治療は、薬物療法から生活習慣改善のアドバイスまで、一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた方法を提案しています。治療開始後もしっかりフォローアップしますので、お悩みや不安があれば、なんでもご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q: 乳房の痛みは乳がんの兆候ですか?
A: 乳房の痛みだけで乳がんと判断することはできません。実際、乳がんの初期症状として痛みを伴うことは比較的稀です。しかし、痛みに加えてしこりや皮膚の変化などがある場合は、医療機関での検査をお勧めします。定期的な乳がん検診を受けることが早期発見の鍵となります。
Q: 生理前の乳房の痛みは異常ですか?
A: 生理前の乳房の痛みや張りは多くの女性が経験する正常な症状です。これは主にホルモンの変動が原因です。しかし、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合や、生理と関係なく持続する場合は、医療機関での診察をお勧めします。
Q:授乳中の乳房の痛みはどう対処すればいいですか?
A: 授乳中の痛みは乳腺炎や乳頭亀裂が原因のことがあります。適切な授乳姿勢の指導や、必要に応じて薬物療法を行います。痛みが強い場合や発熱を伴う場合は、早めに医療機関を受診してください。
Q:乳房のセルフチェックはどのように行えばいいですか?
A: セルフチェックは月に1回、生理後に行うのが理想的です。鏡の前で乳房の形や大きさの変化、皮膚のくぼみや赤みをチェックし、その後仰向けになって乳房全体をくまなく触り、しこりや硬結がないか確認します。また、乳頭からの分泌物にも注意しましょう。
Q:どのような場合に乳房痛で受診すべきですか?
A: 以下のような症状がある場合は、医療機関への受診をお勧めします。
・痛みが持続的で、日常生活に支障をきたす
・しこりや硬結を伴う痛み
・皮膚の変化(発赤、腫れ、凹みなど)がある
・乳頭からの分泌物がある
・痛みに不安を感じる場合
Q:乳房痛と不妊治療や妊娠の関係はありますか?
A: 不妊治療や妊娠初期に乳房痛を感じることは珍しくありません。不妊治療でホルモン投与を受けている場合、ホルモンバランスの変化により乳房が張ったり痛みを感じたりすることがあります。また、妊娠初期も同様にホルモンの影響で乳房の変化を感じやすくなります。 これらの痛みは多くの場合正常な反応ですが、強い痛みや不安がある場合は医師に相談することをお勧めします。
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