乳がん

乳がんとは?

乳がんは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍です。主に乳管から発生する乳管がん(約90%以上)と、小葉から発生する小葉がん(約5~10%)に分類されます。乳がんは進行すると、周囲の組織を破壊しながら増殖し、リンパ節や他の臓器に転移して様々な症状を引き起こしたり、命を脅かす危険があります。

乳がんの仕組み

乳がんは通常、乳管や小葉の上皮細胞から発生します。初期の段階では、がん細胞は乳管内にとどまっており、これを「非浸潤がん」と呼びます。がん細胞が乳管の外に広がると「浸潤がん」となり、乳がんと診断された方の80%以上がこの段階で発見されます。

近年増加が目立つように

日本では乳がんの罹患率は年々増加し、女性がかかるがんの第1位になっています。統計によると、女性の乳がん罹患数は2021年予測で94,400人となっており、これは、9人に1人が乳がんにかかる計算です。年代別に見ると30代後半から罹患率は増え、40代後半と60代前半にピークがあります。

早期発見・早期治療が肝心

がんと聞くと衝撃を受ける方も多いですが、がんの中でも乳がんは初期段階の生存率が高いと言われています。早期発見・早期治療をするために、日ごろからのセルフチェックと医療機関での定期検診が大切です。

乳がんの原因

乳がんの原因は、現段階ではっきりしたことは分かっていません。しかし、発症リスクを高める要因は徐々に明らかになってきています。
主な要因としては、女性ホルモンであるエストロゲンの過剰や年齢、遺伝子の異常などその人の体質によるものと、喫煙・過剰なアルコール摂取・肥満など生活習慣に関わるものがあります。

初潮が早いことや出産・授乳経験がないことなどは、エストロゲンの過剰につながるため、乳がんの発症リスクを高めます。
また、ピルの服用などの女性ホルモンを補充する治療も乳がんの発症に関わるとされています。

乳がんのリスク要因

  • 初経年齢が早い
  • 閉経年齢が遅い
  • 出産歴がない
  • 初産年齢が遅い
  • 授乳歴がない
  • 閉経後の肥満
  • 多量の飲酒・喫煙習慣がある
  • 運動をしない
  • 欧米型の食生活
  • 一親等の乳がんの家族歴
  • ストレス


これらのリスク要因が当てはまるからと言って、必ず乳がんにかかるわけではありません。しかし、生活習慣にかかわるリスク要因は避けることもできます。当てはまる要因が多い方も少ない方も、リスク要因の高い生活習慣を見直し、適正体重を維持するように普段から心がけることが大切です。

乳がんの症状

  • 乳房のしこり:最も一般的な症状で、多くは乳房の上外側に見られます。
  • 乳頭からの分泌物:茶色や赤色の液体が出ることがあります。
  • 乳房の変形:へこみやひきつれが生じることがあります。
  • 乳房や乳頭の変化:腫れ、むくみ、ただれ、かさぶたなどが見られる場合があります。


ただし、これらの症状がすべて乳がんを意味するわけではありません。乳房のしこりは、乳腺症など、乳がん以外の原因によって発生することもあります。気になる症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることが重要です。

当クリニックでは京都府・京都市の乳がん検診を受け入れております

当クリニックでは、京都府・京都市の乳がん検診を受け入れております。 自治体から通知が届いた方は、お早めに検診の予約を入れましょう。
ご予約時には、通知をお持ちの旨をお知らせください。 お電話・WEBよりご予約いただけます。

早期発見・早期治療のために

乳がんの早期発見・早期治療のためには、セルフチェックと定期的な乳がん検診が重要です。
普段の生活に、ぜひセルフチェックを取り入れてみてください。

セルフチェックの手順

『入浴前』に鏡の前で

  • 両腕を下げた状態と上げた状態で、乳房の形や左右差を確認
  • 乳頭や乳輪のただれ、変色をチェック

『就寝前』にベッドの上で

  • 仰向けに寝て、指の腹で乳房全体をなでるように触る
  • わきの下もチェック
  • 乳頭を軽くつまみ、分泌物がないか確認


最初は慣れないかもしれませんが、入浴前と就寝前のかんたんなチェックとして習慣化してみましょう。一日のうち少しの時間だでも自身の乳房と向き合うことで、「なんとなくいつもと違うかも」と小さな異変に気付くことができます。

定期的な乳がん検診

日ごろのセルフチェックに加え、定期的な医療機関での検診も大切です。
ここでは、乳がん検診で来院された方が主に行う検査についてご紹介します。

マンモグラフィ検査

  • 費用:2,000~3,000円程度(保険診療(3割負担)の場合)
  • 乳房を圧迫してX線撮影を行い、小さな腫瘍や石灰化を発見
  • 40歳以上の女性に推奨

エコー(超音波検査)

  • 費用:2,000円程度(保険診療(3割負担)の場合)
  • 痛みがなく、放射線被ばくの心配もない
  • 若年層や高濃度乳房の方に有効

35歳以上の方には、マンモグラフィエコー(超音波検査)の併用をお勧めしています。
これにより、それぞれの検査の弱点を補い、より正確な診断が可能になります。
※検査費用は年齢、症状などにより異なります。

検査で異常が見つかった場合

マンモグラフィーやエコー(超音波検査)で異常所見が見つかっても、すぐに乳がんと判明するということではありません。乳がん以外でも乳がんと同じような異常所見を示す病気があります。
異常所見が見つかった場合は、乳がんであるのか、乳がんではない別の病気であるのかを診断するために精密検査を行います。精密検査にはMRI検査や乳房組織診などがあります。

乳がん以外の良性疾患

乳がん以外にも、乳房には乳腺で発症する様々な疾患があります。

乳腺症

  • 加齢に伴う乳腺組織の変化
  • 特に治療は必要ないが、乳がんとの鑑別が必要


乳腺症について詳しくはこちら

乳腺線維腺腫

  • 良性腫瘍で、がん化することはまれ
  • 大きさや増大傾向によっては摘出を検討


乳腺線維腺腫について詳しくはこちら

乳腺嚢胞

  • 水分がたまった袋状の組織
  • 通常は治療不要、自然に消失することも


乳腺嚢胞について詳しくはこちら

これらの良性疾患でも、乳がんと似た症状が現れることがあります。自己判断せず、専門医の診察を受けることが大切です。

ご予約から診察までの流れ

当クリニックでは、経験豊富な専門医が気になる症状について丁寧にヒアリングし、最新の医療機器による各種検査によって正確な診断・治療方針のご提案を行います。
乳腺外科では、女性医師と女性スタッフが対応します。「これまではなかなか聞きづらかった」「こんなこと聞いていいのか分からない」のようなお悩みをお持ちの方も、安心して何でもご相談ください。

ご予約

当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 

TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)

予約制のため待ち時間も少なく、スムーズに受診することができます。

診察(問診・触診)

専門医が症状の詳細や生活習慣などをお聞きし、乳房の状態を丁寧に確認します。これにより、患者さまの状態を総合的に把握します。
不安な症状がある方は、安心してご相談ください。診察の結果、必要に応じて検査を行います。

検査・診断

乳腺外科で行う検査には様々な種類があります。


これらの検査は、それぞれメリット・デメリットがあり、目的に応じて組み合わせて行います。
不安がある方は、診察時に医師までお申し出ください。

検査の結果に応じて、診断し、説明を行います。ライフスタイルに合わせた治療方針をご提案し、不安解消できるよう努めています。

よくある質問(FAQ)

Q: 乳がんの初期症状の特徴は?

A: 乳がんの初期では症状が乏しいことがあります。最も一般的な症状は「しこり」です。 他に、乳房のくぼみ、左右非対称の形、乳頭や乳輪のただれ、分泌物などがあります。 ただし、これらの症状がすべて乳がんを意味するわけではありません。

Q: 乳がん検診は何歳から必要ですか?

A: 一般的に40歳以上の方に推奨されています。 40歳未満の方は、マンモグラフィでは乳腺の異常が分かりにくいため、超音波検査が有効です。 当クリニックでは35歳以上の方にマンモグラフィと超音波検査の併用をお勧めしています。

Q: 乳がんになりやすい人の特徴は?

A: 女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。 初経年齢が低い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がないなど、エストロゲンが分泌される期間が長い方がリスクが高くなる傾向があります。

Q: 乳がん検診の費用はいくらですか?

A: 当クリニックでは、マンモグラフィが2,000円~3,000円程度、エコー(超音波検査)が2,000円程度です。(※検査費用は年齢、症状などにより異なります。)35歳以上の方には両方の検査を受けていただくことをお勧めしています。

Q: 乳がんにならないための予防法はありますか?

A: 完全な予防法はありませんが、リスクを下げる方法はあります。 適度な運動、バランスの取れた食事、アルコール摂取を控えること、適正体重の維持などが挙げられます。 また、定期的な検診を受けることで早期発見・早期治療につながります。

Q: 乳がんのステージについて教えてください

A: 乳がんのステージとは、がんの進行の程度を示す指標として用いられます。I期~Ⅳ期まで、がんの大きさやリンパ節への転移の有無、遠隔転移(骨や肺などの別の臓器への転移)有無によって決まり、ステージやがんの性質、からだの状態に基づき、治療方針を決めていきます。

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