検診で尿蛋白、血尿を指摘されたら

尿蛋白とは

尿蛋白(にょうたんぱく)とは、尿中にタンパク質が検出される状態のことです。健康な状態では、腎臓の糸球体(しきゅうたい)という微細なフィルターがタンパク質を血液中に保持し、尿中には排出されないようになっています。

通常、尿中のタンパク質量はごくわずかで、一般的な検尿検査では検出されないレベルです。しかし、このフィルター機能に異常が生じると、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出し、「尿蛋白陽性」と判定されます。
尿蛋白の程度は「±(プラスマイナス)」「1+」「2+」「3+」などで表され、数値が大きいほどタンパク質の漏出量が多いことを示します。一時的な尿蛋白は運動後や発熱時、ストレス状態でも現れることがありますが、継続的に検出される場合は腎臓の異常を示唆する重要なサインとなります。

検診で尿蛋白を指摘された場合、一度の検査結果だけで必要以上に心配する必要はありませんが、再検査や精密検査を受けることをお勧めします。早期発見と適切な対応が腎臓の健康を守る鍵となります。

尿蛋白の原因

検診で尿蛋白が陽性となった場合、その原因は、疾患が原因でないものと、疾患が原因であるものの2種類に大きく分けることができます。

疾患が原因でない尿蛋白

◆一過性の蛋白尿(発熱、運動後、ストレス、月経中)

一過性の蛋白尿とは、一時的な体の状態変化によって引き起こされる尿蛋白のことです。高熱を伴う感染症にかかった際や激しい運動の後、強いストレスを感じているとき、男性の場合は射精後、女性では月経中などに尿蛋白が検出されることがあります。

これらの状態では、一時的に腎臓の血流や濾過機能に変化が生じ、通常なら尿中に漏れ出ないタンパク質が尿に混じることがあります。特に運動後の蛋白尿は、運動強度に比例して現れる傾向があり、マラソンなどの長時間の激しい運動後には高率で検出されます。

重要なのは、こうした一過性の蛋白尿は原因となる状態が解消されれば自然に正常化することです。つまり、発熱が下がる、運動を休む、ストレス状態から回復するなどで尿蛋白は消失します。定期検診で尿蛋白を指摘された場合、こうした一時的な要因がなかったか振り返ってみることも大切です。

◆起立性蛋白

起立性蛋白尿は、主に10代から20代の若年層に見られる特殊な蛋白尿の一種です。この状態では、横になっている時(睡眠中など)には尿蛋白が認められないのに対し、起き上がって立位姿勢をとると尿中にタンパク質が検出されるという特徴があります。

この現象は、立位になることで腎臓の血流動態が変化し、腎臓の糸球体にかかる圧力が増加することで起こると考えられています。全体的な尿蛋白量は少ないことが多く、また他の腎機能検査では異常が見られないことが特徴です。

起立性蛋白尿は病的な意味を持たず、成長とともに自然に改善することが多いとされています。診断は「早朝起床直後の尿」と「日中の活動後の尿」を別々に採取して比較する方法で確認でき、前者では陰性、後者では陽性という結果が得られます。健康上の問題はほとんどなく、特別な治療は必要ありません。

疾患が原因の場合

◆腎炎

腎炎は腎臓の糸球体に炎症が生じる疾患です。急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎に大別されます。急性糸球体腎炎は多くの場合、尿蛋白や血尿、むくみ、高血圧などの症状が現れます。慢性糸球体腎炎は長期間にわたり徐々に進行し、初期には無症状のことも多く、検診で尿異常を指摘されて発見されることがあります。

◆慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が徐々に低下する状態が3ヶ月以上続く疾患です。初期には自覚症状がほとんどなく、尿検査での蛋白尿や血尿、血液検査での腎機能低下などで発見されることが多いです。原因は糖尿病、高血圧、慢性腎炎など様々で、進行すると尿毒症症状や透析が必要になることもあります。早期発見と血圧管理、食事療法、適切な薬物療法が重要で、生活習慣の改善も進行抑制に効果的です。

◆尿路結石

尿路結石は、尿中のカルシウムやシュウ酸などの成分が結晶化して固まりとなる疾患です。結石が尿管を通過する際に激しい痛みを引き起こすことが特徴で、血尿を伴うことも多いです。小さな結石は自然排出されることもありますが、大きいものや複数ある場合は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術が必要になることもあります。予防には十分な水分摂取が重要で、食生活の改善も推奨されます。

尿路結石について詳しくはこちら>>

◆膀胱炎

膀胱炎は膀胱の粘膜に炎症が生じる疾患で、特に女性に多く見られます。主に細菌感染が原因となり、頻尿、排尿時の痛み、残尿感、下腹部の不快感などの症状があります。尿検査では白血球増加に加え、血尿が認められることもあります。通常は抗生物質による治療で改善しますが、再発しやすい傾向があります。予防には適切な水分摂取などの生活習慣の工夫が有効です。

膀胱炎について詳しくはこちら>>

尿蛋白を指摘されたら

検診で初めて尿蛋白が陽性(±や1+程度)と指摘された場合、まずは過度に心配せず、一時的な要因による可能性も考慮しましょう。検査前日の激しい運動や発熱、強いストレス、食事内容などが影響している場合があります。

このような軽度の尿蛋白陽性の場合は、生活習慣の見直しから始めるとよいでしょう。塩分や動物性タンパク質の摂取を控えめにし、野菜や果物を積極的に摂る食事を心がけます。適度な運動、十分な睡眠、水分摂取も大切です。また、喫煙や過度の飲酒は控えることが推奨されます。
ただし、以下のケースでは早めに医療機関を受診しましょう。

・複数回の検査で継続して尿蛋白が陽性
・尿蛋白の程度が2+以上
・血尿を伴う場合
・むくみ、疲れやすさ、食欲不振などの症状がある
・高血圧や糖尿病など、腎臓に影響を与える疾患がある

早期発見・早期治療が腎機能を守る鍵となります。心配な場合は、お早めに医療機関に相談しましょう。

尿潜血(血尿)とは

尿潜血(血尿)とは、尿中に血液(赤血球)が混入している状態を指します。通常、健康な状態では尿に血液は含まれません。血尿は大きく「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」の2種類に分けられます。

肉眼的血尿は、文字通り肉眼で尿の色が赤や茶色に変化していることが確認できる状態です。尿が赤ワインや濃いお茶のような色になることもあります。一方、顕微鏡的血尿は肉眼では分からず、尿検査で発見されるもので、検診などで「尿潜血陽性」と指摘されるのはこのケースが一般的です。
尿検査では、「±(プラスマイナス)」「1+」「2+」「3+」といった段階で潜血反応の程度が表示されます。「±」は微量の血液が検出された可能性を示し、数値が大きくなるほど血液の混入量が多いことを意味します。

健康診断で尿潜血を指摘された場合は、他に症状が無くても、早めに医療機関を受診し、精密検査を受けるようにしましょう。

尿潜血(血尿)の原因

血尿は疾患のサインであることが多く、良性疾患の場合がほとんどですが、年齢が高くなるにつれ、がんなどの悪性腫瘍が原因となる可能性が高まります。

◆前立腺炎

前立腺炎は、前立腺に炎症が生じる疾患で、主に細菌感染によって引き起こされます。急性と慢性のタイプがあり、急性では高熱、排尿痛、頻尿などの症状が強く現れます。慢性前立腺炎では、軽度の排尿困難や会陰部の不快感が長期間続くことがあります。尿検査では白血球の増加と共に血尿が認められることもあります。治療には抗生物質の投与が中心となりますが、慢性化すると完全治癒が難しい場合もあります。

◆前立腺肥大症

前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が肥大する疾患で、50歳以上の男性に多く見られます。肥大した前立腺が尿道を圧迫することで、尿の勢いが弱くなる、尿が出にくい、残尿感がある、夜間頻尿などの症状を引き起こします。進行すると、排尿時に尿道粘膜の毛細血管が損傷し、血尿が現れることがあります。薬物療法や手術療法があり、症状や肥大の程度に応じて治療法が選択されます。

前立腺肥大症について詳しくはこちら>>

◆膀胱がん

膀胱がんは、膀胱の内側を覆う粘膜から発生する悪性腫瘍です。最も一般的な症状は無痛性の血尿で、初期段階では他の症状がないことも多く、血尿が唯一の手がかりとなります。喫煙や化学物質への曝露がリスク因子とされています。早期発見が重要で、治療には経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)や、進行例では化学療法などが行われます。

膀胱がんについて詳しくはこちら>>

尿潜血を指摘されたら

女性が健康診断で尿潜血を指摘された場合、まず考えられるのは月経の影響です。検査日が生理中や生理の前後数日だった場合、生理血が尿に混入して偽陽性となることがあります。この場合は、生理と無関係な時期に再検査を受けることで確認できます。

また、ストレスや疲労で免疫力が低下し、膀胱炎などの尿路感染症を起こしている可能性もあります。この場合、排尿時の痛みや頻尿といった症状を伴うことが多いです。

しかし、症状がなくても、尿路結石や腎臓の疾患、まれに悪性腫瘍などが原因となっていることもあります。特に継続的に尿潜血が検出される場合や、肉眼で確認できる血尿の場合は注意が必要です。早めに泌尿器科や婦人科を受診し、適切な検査と診断を受けることをお勧めします。早期発見・早期治療が重要であり、原因に応じた適切な治療で多くの場合は改善します。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)

ご予約から診察までの流れ

当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医により検査・治療を行っております。
ご不明な点がある場合は、お気兼ねなくご相談ください。

※以下は一例です。症状により検査および治療内容は異なりますのでご了承ください。

ご予約

当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)

予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。

来院・受付

ご予約いただいたお時間にご来院ください。
事前問診が未回答の方は問診表にご記入いただきます。
紹介状や健康診断の検査結果をお持ちになってご相談されたい方は、受付時にお渡しください。

検尿

検尿をご提出いただきます。
お悩みによっては検尿が不要な場合もございます。
基本的には検尿をお願いしておりますので、来院直前でのお手洗いはお控えください。

その他の検査

症状に応じて、以下の検査を段階的に行います。

血液検査:腎機能(クレアチニン、尿素窒素など)、炎症反応、免疫系の異常などを調べます
画像検査:腎臓や尿路の形態を調べる超音波検査など

診察(問診・触診)

医師による診察を行います。
症状やお悩みについておうかがいします。
診断内容に基づき、治療方針をご説明いたします。

検査

追加で検査が必要な場合は検査を行います。
検査によっては、結果が出るまで数日かかる場合がございます。
検査結果および治療方法については医師が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
お悩みや不安があれば、何でもご相談ください。

治療

治療を開始します。
経過観察が必要な場合は、次回のご来院のご予約をお取りいただきます。

ソウクリニック四条烏丸の特長

1.プライバシーに配慮した医院設計

泌尿器科は、そのお悩みや病気の性質上、「かかるのが恥ずかしい」「相談しにくい」と思われる方が多いようです。当クリニックでは、安心してご相談いただけるよう話し声が漏れない構造など、プライバシーに細部まで配慮したつくりになっております。話しづらいと思われることでも、心置きなくご相談いただけます。

2.分かりやすく丁寧な説明

当たり前かもしれませんが、当クリニックでは患者様に分かりやすい丁寧な説明を心がけております。
「医師の言っていることが分かりにくかった」「納得できないまま治療が始まってしまった」ということがないよう、患者さまお一人ひとりに対して説明する時間を十分にとり、分かりやすい言葉でお話しております。ご不明時は遠慮なくいつでも仰ってください。

3.総合的な健康へのアプローチ

当クリニックは泌尿器科だけでなく、複数の診療科目を設置しております。例えば、男性であればメンズヘルス外来、女性であれば婦人科、乳腺外科などです。患者さまの症状や検査結果に応じては、泌尿器科に限定することなく、他の診療科目と連携しながら治療計画を立てることができるため、総合的な健康へのアプローチができるという点からも高い信頼感・安心感をいただいております。

よくある質問(FAQ)

Q: 健康診断で尿蛋白が「±」と出ましたが、すぐに病院を受診すべきですか?

A: 「±」は微量の蛋白が検出された可能性を示す境界値です。一度の検査だけでは判断が難しいため、まずは生活習慣の見直し(十分な水分摂取、塩分控えめの食事、適度な運動など)を行いましょう。検査前日に激しい運動をした、高タンパクの食事を摂った、発熱していたなどの一時的要因も考えられます。ただし、2回連続で陽性が出た場合や、むくみ・疲労感などの症状がある場合は、医療機関の受診をお勧めします。

Q: 尿潜血と尿蛋白が同時に陽性の場合、何が考えられますか?

A: 尿潜血と尿蛋白が同時に陽性の場合、腎臓の糸球体に何らかの異常が生じている可能性があります。特に両方とも2+以上で陽性の場合や、高血圧、むくみなどの症状を伴う場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。早期の原因追及と治療開始が大切です。

Q:尿潜血が陽性でも痛みなどの症状がありません。様子を見ても大丈夫ですか?

A: 尿潜血陽性でも自覚症状がない場合は少なくありません。しかし、膀胱がんや腎がんなどの初期症状として無症状の血尿が現れることもあります。特に40歳以上の方や喫煙者、血尿が継続する場合は、症状がなくても泌尿器科を受診することをお勧めします。早期発見が何より重要です。女性の場合は月経の影響も考えられますので、生理と関係ない時期に再検査を受けることも一つの方法です。

Q:子どもの検尿で尿蛋白が陽性と言われました。心配すべきですか?

A: お子さんの場合、起立性蛋白尿という状態が比較的多く見られます。これは立っている時間が長いときに尿蛋白が出やすくなる状態で、病的な意味はなく成長とともに改善することが一般的です。確認のため、朝起きてすぐの尿(第一尿)と日中の活動後の尿を別々に検査することがあります。ただし、継続して陽性の場合、顔や足のむくみがある場合、血尿を伴う場合などは医療機関の受診をお勧めします。

Q:運動後に尿検査を受けると尿蛋白や尿潜血が出やすいと聞きましたが、本当ですか?

A: はい、激しい運動の後は一時的に尿蛋白や尿潜血が陽性になることがあります。これは運動による腎臓の血流変化や筋肉の分解産物が影響しているためです。特にマラソンなどの長時間の激しい運動後は高頻度で見られます。健康診断や人間ドックの前日は激しい運動を避け、十分な水分補給を行うことをお勧めします。もし運動後に検査を受けて異常値が出た場合は、数日間運動を控えた後に再検査を受けることで確認できます。

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私たちのクリニックは、患者さまのお悩みや不安に寄り添うことを第一にしております。話しづらいこと、気になっていることなど、我慢せず何でもお話ください。

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