尿が出にくい(排尿困難)とは
排尿困難とは、尿を出そうとしても思うように出せない、または尿の勢いが弱く時間がかかる症状のことを指します。この症状は「排尿障害」とも呼ばれ、多くの方が経験する泌尿器科の代表的な悩みの一つです。
排尿困難が起こる際には、尿を出し始めるまでに時間がかかる、尿の勢いが弱い、尿が途切れる、尿が出し切れない感覚がある、尿の回数が増えるといった症状が現れます。これらの症状は一時的なものから慢性的なものまで様々で、生活の質を大きく低下させる原因となることもあります。
排尿困難の原因は年齢や性別によって異なります。男性では前立腺肥大症や前立腺がんが主な原因となることが多く、特に50歳以上の男性に多く見られます。女性では骨盤底筋の弱化や膀胱瘤、尿道狭窄などが関連することがあります。また、神経系の疾患や薬の副作用、尿路感染症なども性別を問わず排尿困難を引き起こす可能性があります。
排尿困難を放置すると、尿路感染症や腎臓への負担増加など、さらに深刻な健康問題につながる恐れがあります。症状が続く場合は、専門医による適切な診断と治療が重要です。
こんな症状でお悩みではありませんか
排尿困難の主な症状には以下のようなものがあります。
- 尿を出し始めるまでに時間がかかる(尿線遅延)
- 尿の勢いが弱い(尿線低下)
- 尿が途切れる(尿線途絶)
- 排尿時にりきむ必要がある
- 尿が出し切れていない感覚が残る(残尿感)
- 排尿後にポタポタと尿が出る(後滴下)
- 急に強い尿意を感じる(尿意切迫感)
- 排尿時に痛みを感じる(排尿痛)
- 尿をコントロールするのが難しい(尿失禁)
- 尿の量が減少する
- 排尿時間が長くなる
これらの症状は単独で現れることもあれば、複数の症状が同時に現れることもあります。症状の組み合わせや程度によって、原因疾患の特定に役立つことがあります。
排尿困難の主な原因
前立腺肥大症
前立腺肥大症は、中高年の男性に多く見られる疾患です。加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫することで尿の通り道が狭くなります。その結果、尿の勢いが弱くなり、尿が出づらくなります。また、尿が出し切れずに残尿感を覚えたり、夜間頻尿などの症状も現れます。50歳以上の男性では発症率が高く、年齢とともにリスクが増加する典型的な疾患です。
尿路結石
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱、尿道に結石ができる病気です。特に尿道や膀胱出口付近に結石が存在すると、尿の流れを物理的に妨げ、排尿困難を引き起こします。結石の大きさや位置によって症状の程度は異なりますが、激しい痛みを伴うことも多く、尿が出づらいだけでなく、排尿時に痛みを感じたり、血尿が見られることもあります。水分摂取不足や食習慣が原因となることがあります。
尿道狭窄(にょうどうきょうさく)
尿道狭窄は、尿道の内部が炎症や外傷、手術などが原因で狭くなる状態です。尿道内の通路が狭くなることで、尿の勢いが弱くなり、排尿に時間がかかるようになります。また、尿線が細くなったり、排尿後の滴下が見られることもあります。男女ともに発症する可能性がありますが、男性の方が解剖学的に尿道が長いため発症率が高いとされています。治療が遅れると症状が悪化する恐れがあります。
神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)
神経因性膀胱は、膀胱の機能を制御する神経系に問題が生じることで起こる症状です。脳卒中、糖尿病、パーキンソン病、多発性硬化症などの神経疾患や脊髄損傷が原因となることがあります。膀胱の筋肉(排尿筋)が適切に収縮できなくなったり、膀胱と尿道の協調運動が障害されることで、尿が出づらくなります。排尿困難だけでなく、尿失禁や頻尿などの症状も同時に現れることが特徴です。
前立腺がん
前立腺がんは、男性に発症する悪性腫瘍の一つで、初期段階では症状がほとんど現れないことがあります。しかし、がんが進行し前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿困難を引き起こします。尿の勢いが弱くなり、尿が出づらくなるだけでなく、頻尿や夜間頻尿、排尿時の痛みなども現れることがあります。特に50歳以上の男性はリスクが高まるため、定期的な検診が重要です。早期発見・早期治療により予後が大きく改善する疾患の一つです。
心理的要因
排尿困難は、身体的な疾患だけでなく心理的な要因によっても引き起こされることがあります。強いストレスや不安、緊張状態が続くと、膀胱や尿道周囲の筋肉が緊張し、正常な排尿を妨げることがあります。特に公衆トイレなどで他人の存在を意識すると排尿ができなくなる状態もこれに含まれます。また、過去のトラウマや精神疾患が関与することもあります。心理的要因による排尿困難は、リラクゼーション法や認知行動療法などの心理的アプローチが効果的な場合があります。
排尿困難の対処について
排尿困難の症状を感じたら、まずは泌尿器科を受診することをお勧めします。尿の出が悪い、勢いが弱いといった症状は、前立腺肥大症や前立腺がんなどの重大な疾患のサインである可能性があります。特に症状が2週間以上続く場合や、徐々に悪化している場合は早めの受診が重要です。
泌尿器科では、問診や尿検査、超音波検査などを通じて症状の原因を特定し、適切な治療方針を立てることができます。多くの排尿障害は適切な治療によって改善が見込めます。例えば、前立腺肥大症であれば薬物療法や手術療法、神経因性膀胱であれば排尿訓練や薬物療法などが検討されます。
自己判断で対処を続けると症状が悪化し、尿路感染症や腎機能障害などの合併症を引き起こすリスクもあります。「年齢のせいだろう」と諦めず、専門医に相談することで生活の質を大きく向上させることができます。安心して日常生活を送るためにも、排尿困難の症状があれば早めに泌尿器科を受診しましょう。
当院は京都市の前立腺がん検診を受け入れています
当院では、京都市が実施する前立腺がん検診の受け入れを行っております。
検診の対象となるのは、50歳以上の京都市在住の男性の方で、2年に1回の受診が可能です。検診では、痛みの少ない採血によるPSA検査を実施し、精密な数値データに基づいて、健康状態を評価します。
当院は、四条駅から徒歩1分という便利な立地にあり、お仕事帰りやお買い物のついでにも気軽に立ち寄っていただけます。また、完全個室の診察室と、診察時の声が外に漏れにくい工夫を施した医院設計により、プライバシーにも最大限の配慮をしております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
排尿困難で受診されたときの検査について
排尿困難で泌尿器科を受診された場合、問診・視診後に尿検査、超音波検査などが行われます。必要に応じて血液検査、なども実施し、原因を特定していきます。
問診・視診検査
排尿困難の程度や経過、尿の勢いや回数、痛みの有無など症状の詳細を確認します。また生活習慣や既往歴、服用中の薬剤なども聴取します。これにより疾患の可能性を絞り込み、必要な検査を効率的に選択していきます。
尿検査
尿を採取して行う基本的な検査です。尿中の細菌、白血球、赤血球、タンパク質などを調べる基本的検査です。尿路感染症や炎症、前立腺の問題、尿路結石などの存在を示す手がかりが得られます。簡便で痛みを伴わず、排尿困難の原因となる多くの疾患を迅速にスクリーニングできる重要な検査です。
超音波検査
体外から音波を当て、膀胱や前立腺、腎臓などの状態を画像で確認します。膀胱内の残尿量測定、前立腺肥大の程度、尿路の閉塞や結石、腫瘍などの評価ができます。非侵襲的で被ばくがなく、排尿に関わる臓器の形態的異常を視覚的に捉えられる有用な検査です。
血液検査
腎機能検査(クレアチニン、BUN)、炎症マーカー(CRP)、PSA(前立腺特異抗原)などを測定します。腎機能障害の有無、前立腺炎や前立腺癌の可能性、全身的な炎症状態などを評価できます。排尿困難の原因となる全身疾患や泌尿器系の問題を包括的に評価する上で重要です。
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医により検査・治療を行っております。
ご不明な点がある場合は、お気兼ねなくご相談ください。
※以下は一例です。症状により検査および治療内容は異なりますのでご了承ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
来院・受付
ご予約いただいたお時間にご来院ください。
事前問診が未回答の方は問診表にご記入いただきます。
紹介状や健康診断の検査結果をお持ちになってご相談されたい方は、受付時にお渡しください。
検尿
検尿をご提出いただきます。
お悩みによっては検尿が不要な場合もございます。
基本的には検尿をお願いしておりますので、来院直前でのお手洗いはお控えください。
診察(問診・触診)
医師による診察を行います。
症状やお悩みについておうかがいします。
診断内容に基づき、治療方針をご説明いたします。
検査
追加で検査が必要な場合は検査を行います。
検査によっては、結果が出るまで数日かかる場合がございます。
検査結果および治療方法については医師が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
お悩みや不安があれば、何でもご相談ください。
治療
治療を開始します。
経過観察が必要な場合は、次回のご来院のご予約をお取りいただきます。
ソウクリニック四条烏丸の特長
1.プライバシーに配慮した医院設計
泌尿器科は、そのお悩みや病気の性質上、「かかるのが恥ずかしい」「相談しにくい」と思われる方が多いようです。当クリニックでは、安心してご相談いただけるよう話し声が漏れない構造など、プライバシーに細部まで配慮したつくりになっております。話しづらいと思われることでも、心置きなくご相談いただけます。
2.分かりやすく丁寧な説明
当たり前かもしれませんが、当クリニックでは患者様に分かりやすい丁寧な説明を心がけております。
「医師の言っていることが分かりにくかった」「納得できないまま治療が始まってしまった」ということがないよう、患者さまお一人ひとりに対して説明する時間を十分にとり、分かりやすい言葉でお話しております。ご不明時は遠慮なくいつでも仰ってください。
3.総合的な健康へのアプローチ
当クリニックは泌尿器科だけでなく、複数の診療科目を設置しております。例えば、男性であればメンズヘルス外来、女性であれば婦人科、乳腺外科などです。患者さまの症状や検査結果に応じては、泌尿器科に限定することなく、他の診療科目と連携しながら治療計画を立てることができるため、総合的な健康へのアプローチができるという点からも高い信頼感・安心感をいただいております。
よくある質問(FAQ)
Q: 排尿困難は何歳から起こりやすいですか?
A: 排尿困難はどの年齢でも起こりうる症状ですが、特に男性は50歳以降に前立腺肥大症が原因で発症することが多くなります。60歳以上の男性では約半数、80歳以上では約8割が何らかの排尿困難を経験します。女性の場合は閉経後や出産後に骨盤底筋の弱化から排尿困難を経験することがあります。年齢に関わらず症状が続く場合は専門医への相談をお勧めします。
Q: 排尿困難と頻尿は関連していますか?
A: はい、排尿困難と頻尿は密接に関連しています。前立腺肥大症などで尿道が圧迫されると、膀胱が完全に空にならず残尿が生じます。この残尿により膀胱の容量が減少し、少量の尿でも膀胱が満杯になりやすくなるため頻尿を引き起こします。排尿困難と頻尿の両方の症状がある場合は、泌尿器科疾患の可能性が高いため、専門医による診断と治療が必要です。
Q:排尿困難を改善するための生活習慣はありますか?
A: 排尿困難を改善するための生活習慣としては、まず適切な水分摂取が重要です。適切な量の水分を摂ることで、尿の濃縮を防ぎ、排尿をスムーズにします。また、カフェインやアルコールの過剰摂取は膀胱を刺激し症状を悪化させることがあるため控えめにしましょう。
規則正しい排尿習慣を身につけることも大切です。尿意を感じたら我慢せず、約3〜4時間おきに排尿するよう心がけましょう。さらに、骨盤底筋を鍛える運動や適度な全身運動も排尿機能の改善に効果的です。
Q: 排尿困難はどのような検査で診断されますか?
A: 排尿困難の診断には、問診と尿検査から始まります。問診では症状の詳細や経過、既往歴、服用中の薬などを確認します。尿検査では感染症や炎症の有無を確認し、残尿測定では超音波で排尿後の残尿量を測定します。尿流量測定では排尿時の尿の勢いや量、時間を測定します。必要に応じて血液検査なども行われ、これらの結果から適切な治療方針を決定します。
Q:排尿困難で救急受診が必要なケースはどのような時ですか?
A:排尿困難で救急受診が必要なケースには、まず「尿閉」と呼ばれる完全に尿が出なくなった状態があります。下腹部の膨満感や痛み、強い尿意があるのに排尿できない場合は緊急性が高いです。また、高熱や悪寒、激しい腹痛や背部痛を伴う場合は尿路感染症から敗血症へ発展している可能性があります。血尿を伴う激しい痛みがある場合や、排尿困難が突然発症し神経症状を伴う場合も速やかな受診が必要です。
予約・お問い合わせ
私たちのクリニックは、患者さまのお悩みや不安に寄り添うことを第一にしております。話しづらいこと、気になっていることなど、我慢せず何でもお話ください。
Webからは24時間ご予約いただけます。まずは気軽にご相談ください。