乳房の張りとは
胸の張りは、多くの女性が経験する症状の一つです。毎月、月経前に胸が張ってつらい思いをされている方も多いのではないでしょうか。
不快な症状ですが、その原因や対処法を知ることで、より快適に過ごすこともできます。
ここでは、胸が張る原因と、その対処法について詳しく解説します。
乳房が張る原因
胸の張りは、様々な要因で引き起こされますが、大きく分けると、ホルモンバランスの変化によるものと、疾患によるものがあります。
自身の胸の張りがどのようなタイミングであらわれ・他にどのような症状があるのかを振り返ってみましょう。
「月経前の症状だからと諦めていた」という方も、その張りを軽減する方法を知り、対策をとることができます。 もし胸の張り以外にも症状がある方は、疾患が原因の可能性もあるため、一度医療機関にご相談するとよいでしょう。
ホルモンバランスによる胸の張り
女性のからだは、ホルモンの影響を強く受けます。特に、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンは、乳房の状態に大きく影響します。
月経前後
月経前の1〜2週間は、プロゲステロンの分泌が増加し、乳腺が刺激されて乳房が張ることがあります。これは月経前症候群(PMS)の一症状でもあります。
妊娠・出産時・産後
妊娠中は、胎児の成長を支えるためにホルモンバランスが大きく変化します。特に妊娠初期は、エストロゲンとプロゲステロンの急激な増加により、乳房の張りや痛みを感じやすくなります。また、出産して3日ほど経つと母乳がつくられ胸の張りを感じるようになります。母乳がたくさん作られすぎることにより、産後数ヶ月は胸の張りが出やすい時期でもあります。
更年期
更年期に入ると、エストロゲンの分泌が徐々に減少します。このホルモンバランスの乱れが、胸の張りや不快感を引き起こすことがあります。
疾患による胸の張り
ホルモンバランス以外にも、様々な疾患が胸の張りの原因となることがあります。
以下は、胸の張りが症状として起こり得る疾患の一例です。
乳腺炎
乳腺炎は、主に授乳中の女性に見られる乳腺の炎症です。
特徴:
- 乳房の一部が赤く腫れる
- 発熱を伴うことがある
- 激しい痛みや熱感
早期に治療を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。
乳腺症
乳腺症は、乳房の線維組織や腺組織に変化が起こる良性の疾患です。
特徴:
- 乳房全体のしこりや張り
- 生理前に症状が悪化
- 両側の乳房に症状が出やすい
良性の病変ではあるものの、重度となると日常生活に支障が出ることもあります。つらい時は無理せず、医療機関に相談しましょう。
乳腺嚢胞
高プロラクチン血症
プロラクチンというホルモンが過剰に分泌される状態です。
特徴:
- 乳房の張りや痛み
- 乳汁分泌(妊娠・出産していないのに母乳が出る)
- 生理不順
プロラクチンの値が高くなると排卵障害や黄体機能不全による生理不順となる恐れがあります。自覚症状としては、乳汁の分泌が挙げられ、お風呂でからだが温まると滲み出ることがあります。不妊にもつながるため、早めの受診をお勧めします。
乳がん
乳がんの初期症状の一つとして、あまり多くはありませんが、胸の張りが現れることがあります。他の症状と併せて注意が必要です。
特徴:
- しこりや硬結
- 乳頭からの分泌物
- 乳房の形や大きさの変化
35歳以上の方は、1年に1回の乳がん検診をお勧めしています。忙しく時間が取れない方も、出来るだけ検診を受けるようにしましょう。
上記の他、胸の張りの原因は様々です。月経期間が終わったのに張りが続く場合や、発熱・痛みなどその他の症状もある方は、早めに医療機関を受診しましょう。
胸が張って痛い時の対処法
胸の張りへの対処法は、原因によって異なります。月経周期のホルモンバランスの変化によるものか、それ以外の要因によるものかを知ることが大切です。ただし、下記はあくまで目安のため、安易に自己判断せず、医師にご相談ください。
月経周期のホルモンバランスの変化による場合の対処法
ホルモンバランスの変化により生じる胸の張りの場合に、ご自宅で試せる対処法をご紹介します。
体を冷やさない:
体が冷えると血行が悪くなり、胸の張りを悪化させる可能性があります。適度な運動や入浴で体を温めましょう。
ストレスをためない:
ストレスはホルモンバランスを乱す原因になります。瞑想やヨガ、趣味の時間を持つなど、ストレス解消法を見つけましょう。
きつい下着をつけない:
きつすぎる下着は血行を妨げ、胸の張りを悪化させることがあります。適切なサイズのブラジャーを選びましょう。
バランスのよい食事をとる:
ビタミンEやビタミンB6を含む食品を積極的に摂取することで、ホルモンバランスの改善に役立つ可能性があります。
<<ビタミンEを含む食品>>
・ナッツ類(アーモンド、ピーナッツなど)
・緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、アボカドなど)
・魚類(サーモン、マグロ、イワシなど)
<<ビタミンB6を含む食品>>
・魚類(マグロ、サーモン、サバなど)
・鶏肉、豚肉、牛レバー
・バナナ
・大豆製品(納豆、豆腐など)
月経周期とは関係なく胸の張りを感じる場合
胸の張りが長期間続く場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関での受診をお勧めします。
受診の目安
胸の張りだけで受診してもいいの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
下記の受診の目安を参考に、不安に思う方はいつでもご相談ください。
- 胸に熱感がある
- 乳首から汁がでる
- 痛くて眠れない
- はっきりとした理由がないのにも関わらず、胸の張りが2週間くらい続く
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医による以下の検査を行い、乳がんとの鑑別を含めた正確な診断を行います。
乳腺外科では、女性医師と女性スタッフが対応します。
「これまではなかなか聞きづらかった」「こんなこと聞いていいのか分からない」のようなお悩みをお持ちの方も、安心して何でもご相談ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
診察(問診・触診)
専門医が症状の詳細や生活習慣などをお聞きし、乳房の状態を丁寧に確認します。これにより、患者さまの状態を総合的に把握します。
不安な症状がある方は、安心してご相談ください。診察の結果、必要に応じて検査を行います。
検査
検査の種類や順序は、症状や年齢に応じて最適なものを選択いたします。
ここでは、乳腺外科でよく行う検査について説明します。
超音波検査(エコー)
マンモグラフィ
乳房のX線撮影を行い、状態を観察していきます。乳がんの特長である石灰化の有無など、他の病変の検出にも有用です。当クリニックでは、最新機器である3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)を導入しています。
これらの検査を組み合わせることで、乳房全体の観察と、疾患(特に乳がん)の鑑別を行います。
検査結果は専門医が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
治療は、薬物療法から生活習慣改善のアドバイスまで、一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた方法を提案しています。治療開始後もしっかりフォローアップしますので、お悩みや不安があれば、なんでもご相談ください。
胸の張りを軽減するためのセルフケア
日常生活での工夫で、胸の張りを軽減できることもあります。以下のようなセルフケアを試してみましょう。
温冷交代療法:
温めたタオルと冷やしたタオルを交互に胸に当てることで、血行を改善し、痛みを和らげる効果が期待できます。
マッサージ:
優しく円を描くように胸をマッサージすることで、リンパの流れを促進し、むくみを軽減できる可能性があります。
適度な運動:
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を行うことで血行が促進され、胸の張りが軽減することがあります。
食生活の見直し:
塩分や脂肪の摂取を控え、野菜や果物を積極的に取り入れるなど、バランスの取れた食事を心がけましょう。
日々のセルフチェックと定期的な検診の重要性
胸の張りは、多くの女性が経験する症状です。その原因は様々ですが、適切な知識と対処法を身につけることで、快適に過ごすことができます。
重要なのは、自分の体調の変化に敏感になり、長期間続く症状や気になる変化があれば、躊躇せず医療機関を受診することです。早期発見・早期治療が、より良い結果につながります。
日々のセルフケアと定期的な検診を心がけ、心身ともに健康的な生活を送りましょう。
日常的に乳房の状態を意識するブレストアウェアネスについて詳しくはこちら
よくある質問(FAQ)
Q: 胸の張りはいつまで続くのが普通ですか?
A: 通常、月経前の1〜2週間程度で、月経開始とともに軽減します。しかし、個人差があり、妊娰中や更年期などでは期間が異なる場合があります
Q: 胸の張りと乳がんの関係は?
A: 胸の張りだけでは乳がんの判断はできません。ただし、片方だけの持続的な張りや痛み、しこりがある場合は、医療機関での検査をお勧めします。
Q:胸の張りを軽減するための運動はありますか?
A: ウォーキングや軽いストレッチなど、血行を促進する軽い運動が効果的です。特に、腕を大きく回す運動やヨガのポーズの中には、胸の張りを和らげるものがあります。
Q:食事で胸の張りは改善できますか?
A: カフェインや塩分、脂肪の摂取を控え、ビタミンEやB6を含む食品を摂ることで、症状が軽減する可能性があります。ただし、食事だけで完全に防ぐことは難しいでしょう。
Q:胸の張りがひどい時、冷やすべきですか、温めるべきですか?
A: 個人によって効果的な方法が異なります。一般的に、温めると血行が良くなりますが、冷やすことで痛みが和らぐ場合もあります。温冷交代法を試してみるのも良いでしょう。
Q:いつ医療機関を受診すべきですか?
A: 胸の張りが長期間続く場合、激しい痛みがある場合、しこりを感じる場合、または胸の形や大きさに変化がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
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