高プロラクチン血症とは
プロラクチンは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、本来は妊娠中や授乳期に乳腺を発達させ、乳汁の分泌を促す役割を果たします。
高プロラクチン血症とは、このプロラクチンの値が、妊娠・授乳期ではないにもかかわらず異常に高くなる状態を指します。プロラクチンが高くなると、排卵を促すホルモンの分泌が抑制されてしまうため、月経不順（無月経）や不妊症の主要な原因となります。
特に赤ちゃんが欲しいと考えている方にとっては、早期に原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。高プロラクチン血症は、薬による治療で良好な改善が見込める疾患です。気になる症状がある場合は、我慢せず内分泌疾患に詳しい婦人科にご相談ください。
高プロラクチン血症の主な原因
高プロラクチン血症の原因は多岐にわたりますが、主に以下の3つに分類されます。正確な治療のためには、採血や画像検査を通して、どの原因によるものかを見極めることが重要です。
視床下部・下垂体の異常（器質的な原因）
プロラクチンを分泌する脳の下垂体に腫瘍（プロラクチノーマ）ができることが最も一般的な原因です。この腫瘍は良性であることがほとんどで、プロラクチンを過剰に分泌します。腫瘍が大きくなると、ホルモン異常の症状に加えて、頭痛や視野障害などの神経症状が現れることがあります。
薬剤性
一部の薬剤の副作用として、プロラクチンの分泌が促進されてしまうことがあります。
- 精神安定剤、抗うつ薬
- 降圧剤の一部
- 制吐剤（吐き気止め）
- 胃潰瘍治療薬の一部
これらの薬を服用している場合は、必ず医師に申告してください。原因薬剤を中止または変更することで改善が期待できます。
その他の疾患および特発性
甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの異常がプロラクチン値の上昇を引き起こすことがあります。
多嚢胞性卵巣症候群（PCOS）や慢性的な腎不全など、他の病気が原因となる場合もあります。
特発性: 検査しても原因となる薬剤や器質的な異常が見つからない場合を指します。
高プロラクチン血症の代表的な症状
高プロラクチン血症が疑われる場合、女性にはいくつかの特徴的な症状が現れます。これらの症状に気づいた場合は、早期の受診をおすすめします。
月経不順・無月経
プロラクチン値が高くなると、卵胞刺激ホルモン（FSH）や黄体形成ホルモン（LH）といった排卵に必要なホルモンの分泌が抑制されます。その結果、排卵が起こらなくなり、生理周期が乱れたり（稀発月経）、生理が止まってしまったり（無月経）します。これは不妊の原因として最も重要です。
乳汁漏出
妊娠・授乳期ではないのに、乳首から乳白色の分泌物（乳汁）が漏れ出ることがあります。これは、プロラクチンが乳腺を刺激しているために起こる直接的な症状です。強く絞ると出てくる程度の場合もあれば、自然に下着を汚すほど漏れ出る場合もあります。
不妊
排卵が抑制されるため、排卵障害による不妊となります。特に原因不明の不妊症と診断されている場合でも、潜在的に高プロラクチン血症が関わっているケースは少なくありません。
その他の症状
症状が下垂体の腫瘍（プロラクチノーマ）による場合は、腫瘍が大きくなることで、頭痛や視野の異常（視野狭窄）、性欲の低下などを伴うことがあります。また、自律神経の乱れからくる体のだるさや倦怠感を感じる方もいます。
高プロラクチン血症がもたらす長期的なリスク
高プロラクチン血症を「妊娠を望んでいないから大丈夫」と放置することは、将来的な健康を脅かす深刻なリスクを伴います。
| 不妊症 | 排卵が抑制された状態が長く続くと、不妊の状態が固定化し、妊娠を希望したときに治療が長期にわたる可能性があります。 |
|---|---|
| 骨粗鬆症のリスク増大 | プロラクチンが高値になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が低下します。エストロゲンには骨密度を維持する重要な役割があるため、エストロゲンが不足した状態が続くと、若年層でも骨密度の低下を招き、将来的な骨粗鬆症のリスクが大幅に高まります。 |
| 下垂体腫瘍の進行 （プロラクチノーマ） | 原因が下垂体腺腫（プロラクチノーマ）である場合、治療せずに放置すると腫瘍が徐々に増大し、周囲の組織を圧迫して頭痛や視神経の圧迫による視野障害といった重篤な神経症状を引き起こす可能性があります。 |
高プロラクチン血症は、単に妊娠に関わる問題だけでなく、女性の全身の健康に関わる問題です。症状に気づいたら、できるだけ早く専門医にご相談ください。
ご予約から診察までの流れ
高プロラクチン血症の診断と治療は、主に採血と薬物療法が中心となります。当クリニックでは、患者様の状態に応じた正確な診断と、継続的なサポートを提供しています。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL：050-1720-1847 （9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療）
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
診察・検査
気になる症状やお体の状態を丁寧にヒアリングいたします。その後、必要に応じて採血を行います。
プロラクチン値の採血測定: 高プロラクチン血症の診断は、血液中のプロラクチン値を測定することで行います。プロラクチンはストレスや刺激に敏感に反応しやすく、採血のストレスでも値が上昇することがあるため、安静にした状態で測定します。
治療
検査結果をもとに、治療方針を確定します。
薬物療法（ドーパミン作動薬）: 高プロラクチン血症の治療の第一選択は、ドーパミン作動薬の内服です。この薬はプロラクチンの分泌を抑制する働きがあり、プロラクチノーマが原因の場合でも、腫瘍を小さくする効果が期待できます。内服開始後、比較的速やかにプロラクチン値が正常化し、排卵が再開することが多いです。
原因薬剤の中止・変更: 薬剤性であった場合は、医師と連携し、原因となっている薬剤を中止したり、他の薬に変更したりすることで改善を図ります。
当クリニックでは、プロラクチン値のモニタリングを定期的に行い、患者様が安心して治療を続けられるよう、きめ細やかなサポートを提供いたします。
ソウクリニック四条烏丸の特長
１．女性の院長が在籍し、女性医師・女性スタッフが対応
女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添って女性医師がカウンセリングをいたします。婦人科は検査も女性スタッフが対応しておりますので、はじめて婦人科にかかる方も、安心してご相談いただけます。
２．完全予約制で待ち時間少なく快適な診療体験を
当クリニックは完全予約制のため、待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。ご予約はお電話または24時間365日WEBにて受け付けております。診察時間は月曜日から土曜日までは朝9時半から5時まで、木曜日は夜7時まで行っております。また、お問合せ時の状況によっては、予約なしでも診察いたしますので、まずはお電話ください。
3．すべての年代のお悩みに幅広く対応
当クリニックの婦人科は、すべての年代の女性のお悩みに対応しております。
年齢とともに変化する女性のからだは、年代に応じてその悩みも変化していきます。しかし「何となくこういうもの」と我慢して疾患や不調のシグナルを見過ごしてほしくないため、気になることや不安なことなどを丁寧にヒアリングしております。医師からの説明も「分かりやすい」を心がけておりますので、ご安心ください。
よくある質問(FAQ)
Q:治療薬はいつまで飲み続ける必要がありますか？
A: 原因によって異なります。薬剤性や特発性の場合は、原因を取り除けば比較的短期間で中止できる可能性があります。プロラクチノーマが原因の場合は、腫瘍の大きさやプロラクチン値の安定性を見ながら、数年単位で継続が必要になることが一般的です。医師の指示に従い、勝手に服用を中止しないでください。
Q:薬を飲み始めたら、どれくらいで生理が再開しますか？
A: 薬物療法の効果には個人差がありますが、一般的に服用開始後、数週間から1〜3ヶ月程度でプロラクチン値が正常化し、それに伴い排卵機能が回復して月経が再開することが多いです。正確な排卵のタイミングを知りたい場合は、並行して排卵チェックを行うことも可能です。
Q:高プロラクチン血症の治療中に妊娠しても大丈夫ですか？
A: 妊娠を希望されている場合、プロラクチン値を下げる薬（ドーパミン作動薬）の服用中に妊娠に至ることは問題ありません。ただし、妊娠が確認されたら、速やかにその薬を継続するか中止するかを医師と相談する必要があります。自己判断せず、必ずクリニックにご連絡ください。
Q:ストレスや睡眠不足でもプロラクチン値は上がりますか？
A: はい、ストレス、睡眠不足、激しい運動などは、一時的にプロラクチンの分泌を促すことが知られています。そのため、採血前に強いストレスを感じたり、十分な睡眠が取れていなかったりすると、値が少し高めに出ることがあります。正確な診断のためにも、リラックスした状態での採血が望まれます。
Q:妊娠を希望しない場合でも、治療は必要ですか？
A: はい、治療は必要です。プロラクチン高値の状態が続くと、女性ホルモン（エストロゲン）が不足し、骨密度の低下（骨粗鬆症リスク）や下垂体腺腫の進行などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。妊娠を希望されない場合でも、全身の健康維持のために治療を受けてください。
予約・お問い合わせ
私たちのクリニックは、女性の院長が在籍しており、女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添ってカウンセリングをいたします。
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