乳頭(乳首)から分泌物が出るとは
乳頭(乳首)には、小さな穴が開いており、乳管となり乳腺とつながっています。
妊娠・授乳期には乳管を通って母乳が出ますが、妊娠・授乳期でないのに、乳頭(乳首)から液体が漏れ出る場合、何らかの乳房の異常が考えられるため、注意が必要です。分泌物の特徴は以下のように様々です。
分泌物の特徴
分泌物の色:無色透明、白色、黄色、緑色、茶色、血性など
分泌物の量:少量から多量まで
分泌物の性状:さらさら、粘稠、膿状など
出現タイミング:自然に、圧迫時のみ、片方の乳首から/両方の乳首からなど
これらの特徴は、分泌物の出る原因を特定する上で重要な手がかりとなるため、乳腺外科にかかる前に記録しておくことをおすすめします。
乳首から分泌物がでるときに考えられる原因
妊娠・授乳期以外で乳首から分泌物がでる場合の原因は多岐にわたり、良性疾患から悪性腫瘍まで様々です。
考えられる主な原因について以下で解説します。
良性疾患が原因によるケース
乳管内乳頭腫
乳管内乳頭腫は、乳管内に発生する良性の腫瘍です。主な特徴は以下の通りです。
- 単発または多発性に発生
- 血性または漿液性(しょうえきせい:さらさらとした状態)の分泌物を伴うことが多い
- 触診では腫瘤(しゅりゅう)として触れないことが多い
- 超音波検査で乳管の拡張として観察される場合がある
乳管内乳頭腫は悪性化のリスクは低いものの、定期的な経過観察が必要です。
乳管の拡張
乳管の拡張は、乳管が異常に広がった状態を指します。主な特徴は以下の通りです。
- 閉経後の女性に多く見られる
- 無色透明または白色の分泌物が出る
- 圧迫により分泌物が出やすい
- エコー(超音波検査)で拡張した乳管が確認できる
乳管の拡張自体は良性の状態ですが、潜在的な疾患を特定するために検査が必要です。
乳房の感染症
乳房の感染症、特に乳腺炎は、以下のような特徴を持ちます。
- 授乳中の女性に多く見られるが、非授乳期にも発症する
- 発熱、乳房の発赤、腫れ、痛みを伴う
- 膿状の分泌物が見られることがある
- 抗生物質による治療が必要
乳房の感染症は早期の適切な治療が重要で、放置すると重症化する可能性があります。
乳腺炎について詳しくはこちら>>
薬の影響が原因のケース
疾患のほか、一部の薬剤は、乳汁分泌(ガラクトレア)を引き起こす可能性があります。
- 向精神薬(特に抗精神病薬)
- 胃腸薬(制吐剤など)
- 降圧剤
- ホルモン剤
これらの薬剤を服用中に乳汁分泌が見られた場合は、担当医に相談することが重要です。
まずは薬を処方した病院へ相談してみましょう。
その他の原因が考えられるケース
上記以外にも、乳首から分泌物が出るときは、様々な原因が考えられます。
- ホルモン異常(プロラクチン産生腫瘍など)
- 甲状腺機能異常
- 乳がん
なお、これらは乳首から分泌物が出る場合に考えられる原因の一例に過ぎません。
症状が続く場合やその他の気になる症状が併発している場合は、医師による正しい診断・早期治療開始のために、お早めの医療機関の受診をお勧めします。
お勧めする受診のタイミング
乳首からの分泌物が見られた場合、以下のような状況では早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。
- 分泌物が血性、または血液が混じっている
- 分泌物が片側の乳首からのみ出る
- 分泌物が自然に、または軽い圧迫で出る
- 分泌物に変な匂い(悪臭)がある
- 分泌物に膿が混じっている
- 乳房に腫瘤(しゅりゅう)や硬結(こうけつ)がある
- 乳頭や乳輪の変形、ただれがある
- 40歳以上である
- 乳がんの家族歴がある
警戒すべき兆候
以下の症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。
- 急激な乳房の腫れや痛み
- 高熱を伴う
- 乳首や周囲の皮膚に明らかな変化がある
- 大量の出血がある
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医による以下の検査を行い、乳がんとの鑑別を含めた正確な診断を行います。
乳腺外科では、女性医師と女性スタッフが対応します。
「これまではなかなか聞きづらかった」「こんなこと聞いていいのか分からない」のようなお悩みをお持ちの方も、安心して何でもご相談ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
診察(問診・触診)
専門医が症状の詳細や生活習慣などをお聞きし、乳房の状態を丁寧に確認します。これにより、患者さまの状態を総合的に把握します。
不安な症状がある方は、安心してご相談ください。診察の結果、必要に応じて検査を行います。
検査
検査の種類や順序は、症状や年齢に応じて最適なものを選択いたします。
ここでは、乳腺外科でよく行う検査について説明します。
・超音波検査(エコー)
痛みがなく、放射線被ばくのない安全な検査です。乳房の内部構造を詳細に観察でき、小さなしこりの発見に優れています。
・マンモグラフィ
乳房のX線撮影を行い、状態を観察していきます。乳がんの特長である石灰化の有無など、病変の検出にも有用です。
治療
これらの検査結果を総合的に判断し、適切な診断と治療方針を決定します。
当クリニックは、女性院長の在籍のもと、乳腺外科では女性医師と女性スタッフのみで対応しておりますので、安心してご来院・ご相談いただけます。不安な症状のある方は、まずはお気軽にご相談ください。
定期健診について
最後に乳がん検診を受けたのはいつですか。
日本人女性がかかるがんのなかでも最も多いのが乳がんですが、早期発見・早期治療によって根治できると言われています。
しかし、その初期症状はほとんどないと言われているため、定期的な検診が欠かせません。京都府では、40歳以上の女性の方に、2年に1回の乳がん検診を案内しており、当クリニックでも受け入れを行っております。自治体より検診の案内が届いた方は、お早めにご予約ください。
自治体の乳がん検診がまだ届かない年代の方でも、気になる症状があれば、積極的に検査を受けるようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q:乳首からの分泌物にはどんな色がありますか?
A: 乳首からの分泌物の色は様々で、原因によって異なります。主な色と考えられる原因は以下の通りです。
無色透明:正常な乳汁や乳管の拡張
白色:正常な乳汁や良性の乳管の問題
黄色または緑色:感染症や嚢胞性変化
茶色:古い血液を含む場合
血性(赤色):乳管内乳頭腫や、稀にがん
色だけで判断するのは難しいため、医師の診察を受けることが重要です。
Q:乳首からの分泌物はがんの症状ですか?
A: 乳首からの分泌物のほとんどは良性の原因によるものですが、稀にがんが原因となることもあります。適切な診断のために、専門医の診察と検査を受けることが重要です。
Q:妊娠していないのに乳汁が分泌されるのは異常ですか?
A: 妊娠や出産、授乳期以外で乳汁が分泌される状態を「病的乳汁分泌」または「ガラクトレア」と呼びます。
主な原因として以下が考えられます。
ホルモン異常(プロラクチン高値)、下垂体腫瘍、甲状腺機能低下症、薬剤の影響(向精神薬、胃腸薬など)、頻繁な乳頭刺激
必ずしも深刻な問題とは限りませんが、原因を特定するために医療機関での検査をおすすめします。
Q:乳首から出血しています。どうすればいいですか?
A: 乳首からの出血は、必ず医師の診察を受ける必要がある症状です。主な原因として以下が考えられます。
乳管内乳頭腫(良性腫瘍)、 乳管の拡張、乳頭の亀裂や外傷、まれにがん
出血の量や頻度に関わらず、早めに乳腺専門医の診察を受けてください。
Q:閉経後の乳頭分泌物は異常ですか?
A:閉経後の乳頭分泌物は、通常は異常と考えられ、医師の診察が必要です。閉経後は、ホルモンの変化により乳腺組織が萎縮するため、正常な状態では分泌物は見られません。考えられる原因としては以下が挙げられます。
乳管の拡張、乳管内乳頭腫、慢性炎症、まれにがん
閉経後の分泌物は、良性の原因であっても、がんのリスクが閉経前よりも高くなるため、必ず専門医の診察を受けてください。
Q:乳首から白い垢が出るのはなぜですか?
A:乳首から出る白い垢のような物質は、多くの場合「乳頭角化症」と呼ばれる良性の状態です。主な特徴は以下の通りです。
・乳首の表面に白い小さな塊が付着する/軽く押すと出てくることがある/痛みやかゆみを伴わないことが多い
この状態は通常、問題になることはありませんが、気になる場合は以下の対応を行ってください。
・入浴時に優しく洗い流す/乳頭を清潔に保つ/刺激の少ない下着を選ぶ
ただし、分泌物の量が多い、色や性状が変わる、痛みを伴うなどの症状がある場合は、医師の診察を受けることをおすすめします。
Q:乳首がかゆく、かくと黄色い液体が出て匂いも臭く不安です
A: 乳首周辺の皮膚は非常に薄くデリケートなため、乾燥や刺激等でかぶれる場合があります。まずは皮膚科あるいは他にも乳房が腫れるような症状がある場合は、乳腺外科での検査をおすすめします。
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