乳房の張り

乳房の張りとは

多くの女性が経験する「胸の張り」。不快な症状ですが、その原因や対処法を知ることで、より快適に過ごすことができます。ここでは、胸が張る原因と、その対処法について詳しく解説します。

胸が張る原因

胸の張りは、様々な要因で引き起こされます。大きく分けると、ホルモンバランスの変化によるものと、疾患によるものがあります。

ホルモンバランスによる胸の張り

女性のカラダは、ホルモンの影響を強く受けます。特に、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンは、乳房の状態に大きく影響します。

生理前後
生理前の1〜2週間は、プロゲステロンの分泌が増加し、乳腺が刺激されて乳房が張ることがあります。これは月経前症候群(PMS)の一症状でもあります。

妊娠・出産時
妊娠中は、胎児の成長を支えるためにホルモンバランスが大きく変化します。特に妊娠初期は、エストロゲンとプロゲステロンの急激な増加により、乳房の張りや痛みを感じやすくなります。

更年期
更年期に入ると、エストロゲンの分泌が徐々に減少します。このホルモンバランスの乱れが、胸の張りや不快感を引き起こすことがあります。

疾患による胸の張り

ホルモンバランス以外にも、様々な疾患が胸の張りの原因となることがあります。

乳腺炎

乳腺炎は、主に授乳中の女性に見られる乳腺の炎症です。

特徴:

  • 乳房の一部が赤く腫れる
  • 発熱を伴うことがある
  • 激しい痛みや熱感

乳腺炎について詳しくはこちら

乳腺症

乳腺症は、乳房の線維組織や腺組織に変化が起こる良性の疾患です。

特徴:

  • 乳房全体のしこりや張り
  • 生理前に症状が悪化
  • 両側の乳房に症状が出やすい


乳腺症について詳しくはこちら

乳腺嚢胞

乳腺嚢胞は、乳腺内に液体が溜まってできる良性の嚢胞です。

特徴:

  • 触ると動く、柔らかいしこり
  • 生理前に大きくなりやすい
  • 痛みを伴うことがある


乳腺嚢胞について詳しくはこちら

高プロラクチン血症

プロラクチンというホルモンが過剰に分泌される状態です。

特徴:

  • 乳房の張りや痛み
  • 乳汁分泌(妊娠・出産していないのに母乳が出る)
  • 生理不順

乳がん

乳がんの初期症状の一つとして、胸の張りが現れることがあります。他の症状と併せて注意が必要です。

特徴:

  • しこりや硬結
  • 乳頭からの分泌物
  • 乳房の形や大きさの変化


乳がんについて詳しくはこちら

上記の他、胸の張りの原因は様々です。生理期間が終わったのに張りが続く場合や、発熱・痛みなどその他の症状もある方は、早めに医療機関を受診しましょう。

胸が張って痛い時の対処法

胸の張りへの対処法は、原因によって異なります。ホルモンバランスによるものか、それ以外の要因によるものかを見極めることが重要です。

ホルモンバランスによる場合の対処法

体を冷やさない:
体が冷えると血行が悪くなり、胸の張りを悪化させる可能性があります。適度な運動や入浴で体を温めましょう。
ストレスをためない:
ストレスはホルモンバランスを乱す原因になります。瞑想やヨガ、趣味の時間を持つなど、ストレス解消法を見つけましょう。
きつい下着をつけない:
きつすぎる下着は血行を妨げ、胸の張りを悪化させることがあります。適切なサイズのブラジャーを選びましょう。
バランスのよい食事をとる:
ビタミンEやビタミンB6を含む食品を積極的に摂取することで、ホルモンバランスの改善に役立つ可能性があります。

<<ビタミンEを含む食品>>
・ナッツ類(アーモンド、ピーナッツなど)
・緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー、アボカドなど)
・魚類(サーモン、マグロ、イワシなど)

<<ビタミンB6を含む食品>>
・魚類(マグロ、サーモン、サバなど)
・鶏肉、豚肉、牛レバー
・バナナ
・大豆製品(納豆、豆腐など)

ホルモンバランスとは関係ない場合の対処法

胸の張りが長期間続く場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関での受診をお勧めします。

まずは受診を
専門医による診察で、適切な診断と治療を受けることが重要です。

マンモグラフィ検査 
乳房のレントゲン撮影を行い、しこりや石灰化などの異常を調べます。

エコー(超音波検査)
超音波を使って乳房内部の状態を観察します。若い方や妊娠中の方にも安全に行える検査です。

胸の張りを軽減するためのセルフケア

日常生活での工夫で、胸の張りを軽減できることもあります。以下のようなセルフケアを試してみましょう。

温冷交代療法:
温めたタオルと冷やしたタオルを交互に胸に当てることで、血行を改善し、痛みを和らげる効果が期待できます。
マッサージ:
優しく円を描くように胸をマッサージすることで、リンパの流れを促進し、むくみを軽減できる可能性があります。
適度な運動:
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を行うことで血行が促進され、胸の張りが軽減することがあります。
食生活の見直し:
塩分や脂肪の摂取を控え、野菜や果物を積極的に取り入れるなど、バランスの取れた食事を心がけましょう。

胸の張りと心の健康

胸の張りは身体的な症状ですが、心の健康とも深い関わりがあります。ストレスや不安は、ホルモンバランスを乱し、胸の張りを悪化させる可能性があります。
心身のバランスを保つために、以下のような取り組みも効果的かもしれません。

十分な睡眠:
質の良い睡眠は、ホルモンバランスの調整に重要です。規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。
コミュニケーション:
友人や家族との会話や交流は、ストレス解消に効果的です。悩みを抱え込まず、周囲の人と共有することも大切です。
趣味の時間:
好きなことに没頭する時間を持つことで、心にゆとりが生まれ、ストレス軽減につながります。

胸の張りと年齢による変化

年齢とともに、胸の張りの原因や症状も変化していきます。それぞれの年代で気をつけるべきポイントを押さえておきましょう。

10代〜20代:
初めての生理や不規則な生理周期により、胸の張りを強く感じることがあります。基本的な生活習慣を整えることが大切です。
30代〜40代:
妊娠・出産を経験する方も多い年代です。ホルモンバランスの大きな変化に伴い、胸の張りを感じやすくなります。定期的な乳がん検診も重要です。
50代以降:
更年期を迎え、再び胸の張りを感じやすくなる時期です。ホルモン補充療法を検討する場合は、専門医に相談しましょう。

日々のセルフチェックと定期的な検診の重要性

胸の張りは、多くの女性が経験する症状です。その原因は様々ですが、適切な知識と対処法を身につけることで、快適に過ごすことができます。
重要なのは、自分の体調の変化に敏感になり、長期間続く症状や気になる変化があれば、躊躇せず医療機関を受診することです。早期発見・早期治療が、より良い結果につながります。
日々のセルフケアと定期的な検診を心がけ、心身ともに健康的な生活を送りましょう。

セルフチェック方法

効果的なセルフチェックのために、以下の方法を月1回、できれば生理終了後1週間以内に行うことをお勧めします。

視診:鏡の前で両腕を上げたり下げたりしながら、乳房の形や大きさの左右差、皮膚のくぼみや赤み、乳頭の変形などをチェック
触診:仰向けに寝た状態で、指の腹で乳房全体を円を描くようになでるように触れます。脇の下から鎖骨の下まで、幅広くチェック

これらのチェックを通じて、何か異常を感じた場合は、速やかに医療機関を受診してください。たとえ良性のものだったとしても、早めに確認することで安心を得ることができます。

よくある質問(FAQ)

Q: 胸の張りはいつまで続くのが普通ですか?

A: 通常、生理前の1〜2週間程度で、生理開始とともに軽減します。しかし、個人差があり、妊娰中や更年期などでは期間が異なる場合があります。

Q: 胸の張りと乳がんの関係は?

A: 胸の張りだけでは乳がんの判断はできません。ただし、片方だけの持続的な張りや痛み、しこりがある場合は、医療機関での検査をお勧めします。

Q:胸の張りを軽減するための運動はありますか?

A: ウォーキングや軽いストレッチなど、血行を促進する軽い運動が効果的です。特に、腕を大きく回す運動やヨガのポーズの中には、胸の張りを和らげるものがあります。

Q:食事で胸の張りは改善できますか?

A: カフェインや塩分、脂肪の摂取を控え、ビタミンEやB6を含む食品を摂ることで、症状が軽減する可能性があります。ただし、食事だけで完全に防ぐことは難しいでしょう。

Q:胸の張りがひどい時、冷やすべきですか、温めるべきですか?

A: 個人によって効果的な方法が異なります。一般的に、温めると血行が良くなりますが、冷やすことで痛みが和らぐ場合もあります。温冷交代法を試してみるのも良いでしょう。

Q:いつ医療機関を受診すべきですか?

A: 胸の張りが長期間(数ヶ月)続く場合、激しい痛みがある場合、しこりを感じる場合、または胸の形や大きさに変化がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

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