前立腺炎

前立腺炎とは

前立腺炎とは、前立腺に炎症が生じる疾患で、30〜50代の男性に多く見られる泌尿器科の代表的な病気です。急性と慢性の2つのタイプがあり、それぞれ症状や治療法が異なります。
急性前立腺炎は、細菌感染により突然発症し、発熱や排尿時の痛み、頻尿などの症状が現れます。一方、慢性前立腺炎は、会陰部の不快感や排尿障害などの症状が長期間持続する状態です。

近年、前立腺炎は生活習慣の変化やストレスとの関連も指摘されており、決して珍しい病気ではありません。40代男性の約10%が何らかの前立腺炎の症状を経験しているとされています。
症状に気づいたら、泌尿器科の専門医に相談することをお勧めします。検査は痛みを最小限に抑えた方法で行われ、症状や原因に応じて適切な治療法が選択されます。抗生物質による治療や、症状を和らげる薬物療法など、効果的な治療法が確立されています。

早期発見・早期治療により、多くの場合は良好な治療効果が期待できます。日常生活に支障をきたさないよう、まずは専門医に相談することが改善への第一歩となります。

①急性細菌性前立腺炎

急性細菌性前立腺炎は、細菌感染により前立腺に急激な炎症が生じる疾患です。主に大腸菌などの腸内細菌が尿道から侵入して発症します。

特徴的な症状として、38℃以上の高熱、悪寒、全身倦怠感などの全身症状と、会陰部や下腹部の強い痛み、頻尿、排尿痛、尿閉などの排尿症状が急激に現れます。また、排尿困難や血尿を伴うこともあります。重症例では敗血症に進展する危険性があるため、早期診断と適切な抗生物質による治療が必要です。
急性期には入院加療が必要となることもあり、緊急性の高い泌尿器科疾患の一つとされています。

症状

1.高熱と悪寒:38℃以上の発熱が突然現れ、悪寒を伴います。まるでインフルエンザのような全身症状となり、体がだるく感じることもあります。
2.排尿時の強い痛み:トイレで小水を出す際に焼けるような、または刺すような痛みを感じます。
3.頻尿と残尿感:トイレに行く回数が急に増え(特に夜間)、排尿後も膀胱がまだ満たされているような不快感が残ります。
4.下腹部や会陰部の痛み:おへその下あたりや、睾丸と肛門の間(会陰部)に強い痛みや圧迫感を感じます。

②慢性非細菌性前立腺炎

慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)は、細菌感染の証拠がないにもかかわらず前立腺炎の症状が3ヶ月以上続く状態です。原因は明確ではなく、骨盤底筋の過緊張、自己免疫反応、神経炎症、精神的ストレスなどが関与していると考えられています。症状は細菌性と類似しており、会陰部や下腹部の痛み、排尿障害、性機能障害などが見られますが、尿検査では細菌は検出されません。

抗生物質は効果がなく、症状緩和を目的とした複合的アプローチ(鎮痛剤服用、理学療法、生活習慣改善など)が治療の中心となります。

症状

1.鈍い骨盤部の不快感:下腹部、会陰部、腰、時には太ももの付け根などに鈍い痛みやだるさが長期間(3ヶ月以上)続きます。
2.排尿トラブル:尿の勢いが弱くなる、尿の出始めに時間がかかる、尿が途切れる、排尿後に尿が少し漏れるといった症状が現れます。
3.性機能への影響:射精時の痛みや不快感、性欲減退、時には勃起機能の低下などが見られることがあります。
4.QOL(生活の質)の低下:症状が長期間続くことによる不安感や抑うつ状態、慢性的な痛みによる睡眠障害、仕事や日常生活への支障など、身体的症状を超えた生活全般への影響が出ることがあります。

前立腺炎の原因

前立腺炎は様々な要因によって引き起こされる複雑な疾患です。
急性細菌性前立腺炎の主な原因は細菌感染で、特に大腸菌などの腸内細菌が尿道から逆行性に侵入することで発症します。感染経路としては、行為を通じての感染も考えられます。
一方、慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)の原因は明確ではありませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。骨盤底筋の過緊張やストレス、自己免疫反応、神経の過敏反応などが症状を誘発する可能性があります。また、尿の逆流による化学的刺激、排尿習慣の乱れ、長時間の座位姿勢、過度の自転車走行なども骨盤内の血流障害を引き起こし、症状の悪化要因となることがあります。

前立腺炎とストレスの関係

前立腺炎、特に慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)とストレスには密接な関連があると考えられています。精神的ストレスは自律神経系のバランスを崩し、骨盤底筋群の緊張を高めることで前立腺周囲の血流を悪化させ、症状を誘発・悪化させる可能性があります。
また、ストレスによる免疫機能の低下は炎症反応を促進し、痛みの感覚を増強することもわかっています。さらに、慢性的な前立腺の症状自体が新たなストレス源となり、不安や抑うつ状態を引き起こす「悪循環」が形成されることも少なくありません。

仕事の都合上、長時間座りっぱなしとなる方の中には、痛みやつらい症状を我慢される方も多いですが、一人で悩まず、まずは一度医療機関に相談されることをおすすめします。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 
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前立腺炎の治療について

前立腺炎の治療法は、種類によって大きく異なります。
急性細菌性前立腺炎の場合、初期治療として抗生物質療法が基本となります。重症例では入院の上、静脈内投与による集中治療が必要になることもあります。
一方、慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)の治療はより複合的です。まずは薬物療法により、前立腺部尿道の緊張緩和と排尿障害の改善を図ります。症状に応じて、抗炎症薬、筋弛緩剤、なども併用されることがあります。

さらに、生活習慣の改善も重要です。骨盤底筋のリラクゼーション、温熱療法(座浴など)、カフェインやアルコールの制限、規則正しい排尿習慣の確立などが推奨されます。長時間の座位や自転車での長距離走行を避けることも症状軽減に役立ちます。
ストレス管理のためのカウンセリングや認知行動療法も、特に慢性症状の改善に効果を示すことがあります。

前立腺炎を予防するための日常生活の注意点

食事と飲み物

①水分摂取:十分な水分を取ることで尿の濃度を薄め、細菌の増殖を抑制します。1日2リットル程度の水分摂取を心がけましょう。

②コーヒーと刺激物の制限:カフェインは膀胱を刺激し、頻尿や尿意切迫感を悪化させる可能性があります。コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどの摂取量を控えめにしましょう。特に症状がある時は避けるのが望ましいでしょう。

③アルコール制限:アルコールは前立腺の炎症を悪化させる可能性があります。特に症状がある時は摂取を控えましょう。

生活習慣

①長時間の座位を避ける:デスクワークや長距離ドライブなどで長時間座り続けると、骨盤内の血流が悪くなります。1時間ごとに立ち上がって軽く体を動かすことをお勧めします。

②専用クッションの使用:長時間座る必要がある場合は、会陰部への圧迫を軽減するドーナツ型や前立腺保護用のクッションを使用すると効果的です。これにより骨盤底の圧力を分散させ、不快感を軽減できます。

③適度な運動:ウォーキングや水泳など、過度に骨盤に負担をかけない軽い有酸素運動は血行を促進し、前立腺の健康維持に役立ちます。ただし、自転車の長時間乗車は会陰部に圧力がかかるため控えめにしましょう。

排尿習慣

①規則的な排尿:尿意を感じたら我慢せず、定期的に排尿することが大切です。尿を長時間膀胱に溜めておくと細菌増殖のリスクが高まります。

②完全排尿を心がける:排尿時は時間をかけて膀胱を完全に空にするよう心がけましょう。残尿は細菌増殖の原因になります。

マッサージと温熱療法

①マッサージ:前立腺マッサージは、うっ滞した前立腺液の排出を促し、症状改善に役立つことがあります。ただし、自己流のマッサージは危険なので、必ず医師の指導のもとで行いましょう。

②温熱療法:座浴や温かいシャワーで骨盤部を温めることで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果があります。38〜40℃のお湯に10〜15分程度浸かることをお勧めします。

性生活

①適度な性行為:長期間の禁欲や逆に過度な性行為は前立腺に悪影響を与える可能性があります。適度で規則的な性生活を心がけましょう。

②安全な性行為:性感染症は前立腺炎のリスク因子となります。コンドームの使用など、安全な性行為を心がけましょう。

ストレス管理

①リラクゼーション法の実践:深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法は、ストレスを軽減し、骨盤底筋の緊張を和らげるのに役立ちます。

②十分な睡眠:質の良い睡眠は免疫機能を高め、ストレスホルモンを調整します。7〜8時間の睡眠を確保しましょう。


これらの予防法を日常生活に取り入れることで、前立腺炎のリスクを低減し、症状の改善に役立てることができます。ただし、症状が出た場合は自己判断せず、早めに泌尿器科を受診することが大切です。

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ご予約から診察までの流れ

当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医により検査・治療を行っております。
ご不明な点がある場合は、お気兼ねなくご相談ください。

※以下は一例です。症状により検査および治療内容は異なりますのでご了承ください。

ご予約

当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。

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予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。

来院・受付

ご予約いただいたお時間にご来院ください。
事前問診が未回答の方は問診表にご記入いただきます。
紹介状や健康診断の検査結果をお持ちになってご相談されたい方は、受付時にお渡しください。

検尿

検尿をご提出いただきます。
お悩みによっては検尿が不要な場合もございます。
基本的には検尿をお願いしておりますので、来院直前でのお手洗いはお控えください。

診察(問診・触診)

医師による診察を行います。
症状やお悩みについておうかがいします。
診断内容に基づき、治療方針をご説明いたします。

検査

追加で検査が必要な場合は検査を行います。
検査によっては、結果が出るまで数日かかる場合がございます。
検査結果および治療方法については医師が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
お悩みや不安があれば、何でもご相談ください。

治療

治療を開始します。
経過観察が必要な場合は、次回のご来院のご予約をお取りいただきます。

ソウクリニック四条烏丸の特長

1.プライバシーに配慮した医院設計

泌尿器科は、そのお悩みや病気の性質上、「かかるのが恥ずかしい」「相談しにくい」と思われる方が多いようです。当クリニックでは、安心してご相談いただけるよう話し声が漏れない構造など、プライバシーに細部まで配慮したつくりになっております。話しづらいと思われることでも、心置きなくご相談いただけます。

2.分かりやすく丁寧な説明

当たり前かもしれませんが、当クリニックでは患者様に分かりやすい丁寧な説明を心がけております。
「医師の言っていることが分かりにくかった」「納得できないまま治療が始まってしまった」ということがないよう、患者さまお一人ひとりに対して説明する時間を十分にとり、分かりやすい言葉でお話しております。ご不明時は遠慮なくいつでも仰ってください。

3.総合的な健康へのアプローチ

当クリニックは泌尿器科だけでなく、複数の診療科目を設置しております。例えば、男性であればメンズヘルス外来、女性であれば婦人科、乳腺外科などです。患者さまの症状や検査結果に応じては、泌尿器科に限定することなく、他の診療科目と連携しながら治療計画を立てることができるため、総合的な健康へのアプローチができるという点からも高い信頼感・安心感をいただいております。

よくある質問(FAQ)

Q: 前立腺炎は性感染症ですか?

A: 前立腺炎はすべてが性感染症というわけではありません。急性細菌性前立腺炎の一部は性行為を通じて感染することもありますが、多くは尿道から逆行する細菌感染や、尿路感染症からの波及、医療処置後などが原因です。特に慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)は性行為と直接的な関連がなく、ストレスや骨盤底筋の緊張など様々な要因が関係しています。ただし、安全な性行為を心がけることは予防の一環として重要です。

Q: 前立腺炎は前立腺がんになる可能性がありますか?

A: 前立腺炎と前立腺がんには直接的な因果関係はありません。前立腺炎は炎症性疾患であり、がんに進展することはありません。ただし、前立腺炎の症状と前立腺がんの初期症状が似ていることがあるため、特に50歳以上の男性で症状が長期間続く場合は、がんの可能性も含めて医師による適切な検査を受けることが重要です。

Q:前立腺炎は完治しますか?どのくらいの期間治療が必要ですか?

A: 治療期間と完治の見込みは前立腺炎のタイプによって異なります。急性細菌性前立腺炎は適切な抗生物質治療を2〜4週間行うことで、多くの場合完治します。一方、慢性非細菌性前立腺炎(前立腺痛症候群)は治療が難しく、症状のコントロールが目標となることが多いです。治療期間は数ヶ月から長期にわたる場合もあります。複合的な治療アプローチ(薬物療法、生活習慣改善、ストレス管理など)を継続しながら、症状の緩和を目指します。定期的な医師の診察を受けながら、長期的な管理が必要なケースが多いでしょう。

Q:前立腺炎と勃起不全(ED)には関係がありますか?

A: 前立腺炎、特に慢性前立腺炎は勃起機能に影響を与えることがあります。これには複数の要因が関わっています。まず、前立腺の炎症や痛みが性的刺激への反応を鈍らせることがあります。また、前立腺炎による射精痛や不快感から性行為を避けるようになり、心理的な不安や緊張が生じることで勃起障害につながる場合もあります。前立腺炎の治療により、これらの症状が改善することもありますので、医療機関に相談することをお勧めします。

Q:前立腺炎の症状と前立腺肥大症の症状はどう違いますか?

A: 前立腺炎と前立腺肥大症は似た排尿症状を示すことがありますが、いくつかの違いがあります。前立腺炎の特徴的な症状は会陰部や下腹部の痛みや不快感、時に発熱(特に急性細菌性前立腺炎の場合)、射精痛などです。一方、前立腺肥大症は主に排尿に関する症状が中心で、尿の勢いが弱い、尿の出始めに時間がかかる、残尿感、夜間頻尿などが特徴的です。前立腺肥大症では痛みはあまり見られないことが多いです。また、前立腺肥大症は主に50歳以上の男性に多く見られ、加齢とともに進行する傾向がありますが、前立腺炎はより若い世代でも発症します。正確な診断のためには、医師による診察と適切な検査が必要です。

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