精巣上体炎とは
精巣上体炎は、精巣の後ろ側に位置する精巣上体に起こる炎症性の疾患です。主な症状として、陰嚢の痛みや腫れ、発熱、排尿時の違和感などが現れます。この症状は片側のみに発生することが多く、急性と慢性のタイプがあります。
原因としては、大腸菌などの細菌感染が最も一般的です。特に尿道炎や膀胱炎から細菌がさかのぼることで発症することがあります。また、性行為感染症の一つである淋菌やクラミジアによる感染も原因となることがあります。
治療は主に抗生物質の投与により行われ、早期発見・早期治療が重要です。放置すると慢性化や不妊の原因となる可能性もあるため、症状が出たら速やかに泌尿器科を受診することが推奨されます。
また、予防のためには適切な衛生管理や性感染症予防が重要です。特に若い男性に多い疾患ですが、高齢者でも尿路感染症に関連して発症することがあります。安静、患部の冷却、適切な下着の選択なども症状の緩和に効果的です。
精巣上体のはたらきと仕組み
精巣上体は、精巣の後ろ側に沿って存在する大切な生殖器官です。主な役割は、精巣で作られた未熟な精子を成熟させ、貯蔵することにあります。精子は精巣から精巣上体に送られ、ここで運動能力を獲得し、受精できる状態へと成熟していきます。
この精巣上体は、頭部・体部・尾部という3つの部分からなる細長い管でできています。この管は非常に長く複雑に折りたたまれているため、一度炎症が起きると薬が届きにくく、治療に時間がかかることがあります。また、炎症が長引くと精子の通り道が狭くなったり詰まったりする可能性があり、将来の妊娠に影響を与える可能性もあります。
さらに、精巣上体は精管を通じて尿道につながっているため、尿路感染症や性感染症の原因菌が尿道から逆行して感染しやすい構造となっています。そのため、排尿時の違和感や陰嚢の痛みなどの症状を感じたら、できるだけ早く泌尿器科を受診することが推奨されます。早期発見・早期治療により、重症化や慢性化を防ぐことができます。
このような症状でお悩みではないですか
精巣上体炎の主な症状として下記が挙げられます。
陰嚢(特に精巣上体のある後ろ側)の強い痛みと腫れ
通常は片側に発症し、動いたり触れたりすると痛みが強くなることがあります
37.5度以上の発熱とだるさ
細菌感染による全身性の炎症反応として現れ、重症化すると38度以上の高熱を伴うこともあります
排尿時の痛みや違和感
特に尿道炎を伴う場合に顕著で、頻尿や残尿感などの症状も出現することがあります
精液に血液が混じる(血精液症)
重症例では精路に炎症が波及し、精液に血液が混入することがあります
立っているときや歩行時の違和感
陰嚢の痛みにより、歩行や立位時に不快感を感じることがあります
これらの症状が出現した場合は、早期の医療機関受診が推奨されます。
特に急性の場合は、症状が急速に進行する可能性があるため、できるだけ早い段階での受診が重要です。
精巣上体炎の原因
精巣上体炎の主な原因は細菌感染です。特に最も多いのが大腸菌による感染で、尿道から膀胱、精管を経て精巣上体まで上行性に感染することで発症します。この経路での感染は、尿路感染症や膀胱炎が原因となることが多く見られます。
また、性感染症による発症も重要な原因の一つです。特に若い世代では、淋菌やクラミジアなどの性感染症による感染が多く見られます。これらの細菌は性行為を通じて感染し、尿道から上行性に広がって精巣上体炎を引き起こします。
また、解剖学的な異常や免疫力の低下も発症リスクを高める要因となります。特に高齢者や糖尿病患者、免疫抑制剤を使用している患者さんは、感染リスクが高まる傾向にあります。
陰嚢の痛みを感じたら泌尿器科へ
精巣上体炎と似た症状を示す重要な疾患として、精巣捻転症があります。精巣捻転症は、精巣を支える組織が捻れることで血流が悪くなり、強い痛みを引き起こす緊急性の高い病気です。
発症後すぐに治療を開始しないと、精巣が壊死してしまう可能性があり、その場合は精巣を摘出する手術が必要となることもあります。そのため、突然の強い陰嚢痛がある場合は、精巣上体炎なのか精巣捻転症なのかを早急に判断する必要があり、速やかに泌尿器科での診察を受けることが非常に重要です。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
精巣上体炎の検査について
精巣上体炎がうたがわれる症状で来院された場合、まずは症状の原因を特定するため、下記のような検査を行います。
問診・視診検査
医師は症状の経過や性行為歴、尿の状態などについて詳しく問診を行います。また、陰嚢の腫れや発赤、圧痛の有無を確認し、精巣捻転症との鑑別のため、精巣挙筋反射(精巣を持ち上げた際の痛みの変化)なども慎重に確認します。
性感染症検査
必要に応じて、淋菌やクラミジアなどの性感染症の検査を行います。特に若い方や性行為歴がある場合は、これらの感染症が原因となっていることがあるため、尿検査や尿道分泌物の検査を行い、適切な治療方針を決定します。
尿検査
尿検査では、尿中の白血球数や細菌の有無を調べます。精巣上体炎では、尿路感染症を伴うことが多いため、尿検査で炎症反応や感染の有無を確認します。これにより原因となっている細菌を特定し、適切な抗生物質を選択することができます。
精巣上体炎の治療について
精巣上体炎の治療は、症状の程度や原因となる細菌によって異なります。
軽症の場合は、抗生物質の内服治療が基本となります。また、自宅での安静や冷却、陰嚢を適度に挙上することで、症状の改善を図ります。通常、適切な治療により数日から1週間程度で症状は改善傾向となりますが、完治までは2週間程度かかることもあります。
中等症から重症の場合、入院治療が必要となることがあります。特に高熱や強い痛みを伴う場合は、点滴による抗生物質の投与や、十分な安静が必要です。また、痛みが強い場合は、医師の判断により痛み止めが処方されることもあります。
性感染症が原因の場合は、パートナーの方も同時に治療を受ける必要があります。これは再感染を防ぐために重要な対策となります。
なお、慢性化を防ぐためには、症状が改善してきても医師の指示した期間は確実に服薬を継続することが大切です。また、定期的な検査で治癒を確認することで、後遺症の予防にもつながります。
治療後のしこりについて
精巣上体炎によってできた腫れは、痛みが引いたあともしこりとして残ることがあります。
徐々に小さくなっていきますが、少し時間がかかることもあります。基本的にはそのまま放っておいても問題ありませんが、痛みがある・腫れているような違和感を覚えた場合は、念のため医療機関を受診するとよいでしょう。
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医により検査・治療を行っております。
ご不明な点がある場合は、お気兼ねなくご相談ください。
※以下は一例です。症状により検査および治療内容は異なりますのでご了承ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
来院・受付
ご予約いただいたお時間にご来院ください。
事前問診が未回答の方は問診表にご記入いただきます。
紹介状や健康診断の検査結果をお持ちになってご相談されたい方は、受付時にお渡しください。
検尿
検尿をご提出いただきます。
お悩みによっては検尿が不要な場合もございます。
基本的には検尿をお願いしておりますので、来院直前でのお手洗いはお控えください。
診察(問診・触診)
医師による診察を行います。
症状やお悩みについておうかがいします。
診断内容に基づき、治療方針をご説明いたします。
検査
追加で検査が必要な場合は検査を行います。
検査によっては、結果が出るまで数日かかる場合がございます。
検査結果および治療方法については医師が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
お悩みや不安があれば、何でもご相談ください。
治療
治療を開始します。
経過観察が必要な場合は、次回のご来院のご予約をお取りいただきます。
ソウクリニック四条烏丸の特長
1.プライバシーに配慮した医院設計
泌尿器科は、そのお悩みや病気の性質上、「かかるのが恥ずかしい」「相談しにくい」と思われる方が多いようです。当クリニックでは、安心してご相談いただけるよう話し声が漏れない構造など、プライバシーに細部まで配慮したつくりになっております。話しづらいと思われることでも、心置きなくご相談いただけます。
2.分かりやすく丁寧な説明
当たり前かもしれませんが、当クリニックでは患者様に分かりやすい丁寧な説明を心がけております。
「医師の言っていることが分かりにくかった」「納得できないまま治療が始まってしまった」ということがないよう、患者さまお一人ひとりに対して説明する時間を十分にとり、分かりやすい言葉でお話しております。ご不明時は遠慮なくいつでも仰ってください。
3.総合的な健康へのアプローチ
当クリニックは泌尿器科だけでなく、複数の診療科目を設置しております。例えば、男性であればメンズヘルス外来、女性であれば婦人科、乳腺外科などです。患者さまの症状や検査結果に応じては、泌尿器科に限定することなく、他の診療科目と連携しながら治療計画を立てることができるため、総合的な健康へのアプローチができるという点からも高い信頼感・安心感をいただいております。
よくある質問(FAQ)
Q: 精巣上体炎の治療中、入浴はできますか?
A: 精巣上体炎の治療中は、基本的に患部を冷却することが好ましいため、しばらくは入浴などの患部が温まる行為は避けた方がよいでしょう。また、陰嚢をアイスパックなどで冷やすことで治りが早くなることもあります。
Q: 性器の痛みがあるのですが、すぐに受診した方がよいでしょうか?
A: 性器の痛みは重要な症状のサインです。特に排尿時の痛みや性交渉時の痛み、急な痛みが出現した場合は、感染症や炎症が疑われます。痛みは我慢せず、できるだけ早めに受診することをお勧めします。
Q:精巣上体炎は女性にうつりますか?
A: 性感染症が原因の精巣上体炎であった場合は女性にも感染する恐れがあります。性感染症の検査の結果次第では、パートナーも一緒に来院し、検査・治療を行う必要があります。
Q:精巣上体炎を放置するとどうなりますか?
A: まず陰嚢の痛みのみで精巣上体炎と診断することはできません。精巣捻転症などのその他の疾患との鑑別が重要です。また、放置すると精巣炎となり、精巣機能が低下して不妊症の原因となることもあります。放置して自然治癒することはないため、違和感を覚えたらまずは泌尿器科を受診しましょう。
Q:ストレスが原因で精巣上体炎になりますか?
A: 精巣上体炎は細菌感染が原因の疾患です。ストレスが直接の原因となることはありませんが、免疫力が低下すると感染症にかかりやすくなるため、ストレスをためないように心がけることは大切と言えるでしょう。
予約・お問い合わせ
私たちのクリニックは、患者さまのお悩みや不安に寄り添うことを第一にしております。話しづらいこと、気になっていることなど、我慢せず何でもお話ください。
Webからは24時間ご予約いただけます。まずは気軽にご相談ください。