多のう胞性卵巣症候群

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)とは

「多のう胞性卵巣症候群(PCOS:Polycystic Ovary Syndrome)」という言葉を初めて聞いた時、何か恐ろしい病気が見つかったのではないかと不安を感じる方も多いでしょう。しかし、これは特定の腫瘍があるといった「重大な疾患」というよりは、卵巣が卵胞を育てる際のリズムが少し乱れやすいという、一つの「体質」のような側面が強い状態です。

通常、女性の卵巣では、月に一度ひとつの卵胞が成熟して「排卵」が起こります。しかしPCOSの方の場合、卵巣の中に成長途中の小さな卵胞がいくつも留まってしまい、なかなか排卵に至ることができません。超音波(エコー)検査を行うと、卵巣の表面に沿って小さな卵胞がぐるりと真珠のネックレスのように並んで見えるのが特徴で、これを「ネックレスサイン」と呼びます。

この状態は、20代から30代の女性の約5〜10%に見られる、決して珍しいことではない悩みです。主な症状としては、生理周期が長くなる(稀発月経)、あるいは生理が止まってしまう(無月経)などが挙げられます。また、排卵がスムーズに行われないことから不妊の原因になることもありますが、適切なケアやホルモンのコントロール、そして東洋医学的なアプローチを取り入れることで、排卵を促し、将来の妊娠への道筋を整えることが十分に可能です。

多のう胞性卵巣症候群の原因

脳の司令塔と卵巣の「連携ミス」

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)において排卵がスムーズに行われない背景には、ホルモンバランスの複雑な乱れが関わっています。主な原因の一つは、脳の指令塔と卵巣の間の「連携ミス」です。通常、脳(下垂体)からは卵胞を育てる指令と排卵を促す指令がバランスよく出されます。しかしPCOSの状態では、この指令の比率が崩れ、卵巣内で男性ホルモン(アンドロゲン)が過剰に作られやすくなります。

卵巣内で男性ホルモンの値が高くなると、卵胞を包む膜が硬く厚くなってしまいます。その結果、卵子が成熟しても外に飛び出す(排卵する)ことができず、成長が止まった小さな卵胞が卵巣内に留まってしまうのです。これが、先述した「ネックレスサイン」が形成されるメカニズムです。

「インスリン」というホルモンの影響

また、近年の研究では「インスリン」という血糖値を調節するホルモンの働きも深く関与していることが分かってきました。食生活や体質によりインスリンの効果が鈍くなると、体はより多くのインスリンを分泌しようとします。この過剰なインスリンが卵巣を刺激し、さらに男性ホルモンの分泌を促すという悪循環を引き起こします。

このように、PCOSは単なる卵巣だけの問題ではなく、脳のホルモン指令や糖の代謝といった全身のシステムが相互に影響し合って起こる現象なのです。そのため、局所的な処置だけでなく、全身のバランスを整える視点でのアプローチが重要となります。

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の症状

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)の症状は、単に生理が遅れるだけにとどまらず、全身に多様な形で現れるのが特徴です。ご自身の体調を振り返り、当てはまるサインがないか確認してみましょう。

生理周期の乱れ(月経不順)

最も多く見られるサインです。生理が数ヶ月に一度しか来ない「稀発月経」や、長期間生理が止まってしまう「無月経」が見られます。
「生理がなくて楽」と見過ごされがちですが、排卵されない状態が長く続くと、子宮内膜に負担がかかる可能性があるため注意が必要です。

不妊への不安

排卵が不規則、あるいは起こりにくいため、妊娠を希望された際になかなか授かりにくいという悩みが生じることがあります。
ただし、PCOSであっても適切な管理や治療によって排卵を促すことは十分に可能です。

肌トラブル(ニキビ・肌荒れ)

PCOSに伴う男性ホルモンの上昇は、皮脂の分泌を活発にします。そのため、大人になっても治りにくいニキビや、フェイスラインの肌荒れに悩まされるケースが少なくありません。
当院のように美容皮膚科的な視点を持つクリニックでは、こうしたお悩みに対しても内面と外面の両方から配慮することが可能です。

多毛や体型の変化

男性ホルモンの影響で、体毛が濃くなったり、以前に比べて太りやすくなったと感じたりすることがあります。
特に急激な体重増加は、ホルモンバランスをさらに乱す要因となるため、体質に合わせた体重管理が健康維持のポイントとなります。

これらの症状は、すべての人に等しく現れるわけではありません。一つひとつの症状は軽くても、複数のサインが重なっている場合は、一度ホルモンバランスをチェックしてみることをお勧めします。

PCOSを放置するデメリット

生理が不規則であっても「特に困っていないから」と放置してしまう方は少なくありません。しかし、多のう胞性卵巣症候群(PCOS)を適切なケアなしに放置することには、いくつかの長期的なリスクが伴います。

1. 子宮内膜への影響排卵が起こらない状態が長く続くと、本来であれば生理として剥がれ落ちるはずの子宮内膜が、子宮の中に留まり続けてしまいます。 エストロゲンというホルモンだけが子宮内膜を刺激し続ける状態は、将来的に「子宮内膜増殖症」や「子宮体がん」などのリスクを高める要因となることが分かっています。 定期的に生理を起こし、子宮の中をリセットすることは、将来の大きな病気を防ぐための大切なメンテナンスです。
2. 将来の生活習慣病リスクPCOSは、糖の代謝に関わる「インスリン」の働きと密接に関係しています。そのため、適切な対策をとらないまま年齢を重ねると、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を発症するリスクが、そうでない方に比べて高くなる傾向があります。 「たかが生理不順」と思われがちですが、実は将来の全身の健康状態を左右する重要なサインなのです。
3. 不妊治療が必要になった際の負担将来、お子様を希望された際、長期間放置されたPCOSの状態から排卵をスムーズに起こすためには、より強いお薬が必要になったり、治療に時間がかかったりすることがあります。 今のうちからご自身の体質を知り、ホルモンバランスを整えておくことは、将来の選択肢を広げ、心身の負担を減らすことに繋がります。

一人ひとりに合わせた「無理のない」治療とケアを

多のう胞性卵巣症候群(PCOS)のケアで大切なのは、今現在の悩み(生理不順、肌荒れなど)を解決するだけでなく、数年後の患者さまご自身のために、無理なく続けられる方法を見つけることです。

当院では、患者さまお一人おひとりのライフステージやご希望に合わせ、様々なアプローチを組み合わせてご提案します。

ホルモンバランスの調整

今すぐの妊娠を希望されない場合は、低用量ピルなどを用いて定期的に生理を起こし、子宮内膜の状態を整えます。
これにより、男性ホルモンの影響によるニキビや多毛の改善も期待できます。

体質から整えるケア

当院の特長である漢方処方や鍼治療を組み合わせます。
漢方や鍼によって血流や自律神経を整えることは、ホルモンバランスの改善を助け、PCOS特有のめぐりの悪さを解消する力となります。

ライフスタイルへのアドバイス

PCOSは血糖値を調整するホルモンと深く関わっているため、無理のない範囲での食生活や運動の工夫が非常に効果的です。
「何をすればいいか分からない」という不安に対し、専門医の視点から具体的で実践しやすいアドバイスを丁寧に行います。

治療の主役は、あくまで患者様ご本人です。
「薬を飲み続けるのは抵抗がある」「漢方に興味がある」といったお気持ちをしっかり伺いながら、納得のいく管理計画を一緒に立てていきましょう。

ご予約から診察までの流れ

ご予約

当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。

診察・検査

カウンセリング

まずは、生理周期のお悩みや体調の変化、将来のライフプランなどを詳しくうかがいます。
些細なことと思われる症状でも、診断の重要な手がかりとなります。

痛みに配慮した丁寧なエコー検査

卵巣の状態を直接確認するためにエコー検査を行います。
痛みを抑えた丁寧な操作を徹底しており、内診に対する抵抗感や痛みに配慮し、リラックスした状態で受診いただけるようスタッフ一同努めております。

血液検査

ホルモンバランスの状態や、インスリンの働きを確認するために血液検査を行う場合があります。
数値として客観的に捉えることで、一人ひとりの体質に最適なケアの方向性を導き出します。

治療と経過観察について

PCOSの治療は、一つの正解があるわけではありません。
患者さまが最も解決したい悩みに焦点を当て、様々な角度からオーダーメイドでプランを立てます。

定期的な「経過観察」

定期検査で症状の回復状況を見ていきます。

低用量ピルによる周期管理

定期的に生理を起こすことで、子宮内膜を守りながらホルモンバランスを整えます。
男性ホルモンの影響を抑えるため、肌荒れの改善にも効果的です。

ピルについて詳しくはこちら>>

将来の妊娠を見据えたサポート

近い将来に妊娠を希望される場合は、排卵を促すお薬の検討や、妊娠しやすい体づくりをサポートします。
婦人科専門医でもある女性医師が、ライフステージに合わせた長期的な視点で、あなたの健やかな毎日を支えます。

ソウクリニック四条烏丸の特長

1.女性の院長が在籍し、女性医師・女性スタッフが対応

女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添って女性医師がカウンセリングをいたします。婦人科は検査も女性スタッフが対応しておりますので、はじめて婦人科にかかる方も、安心してご相談いただけます。

2.完全予約制で待ち時間少なく快適な診療体験を

当クリニックは完全予約制のため、待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。ご予約はお電話または24時間365日WEBにて受け付けております。診察時間は月曜日から土曜日までは朝9時半から5時まで、木曜日は夜7時まで行っております。また、お問合せ時の状況によっては、予約なしでも診察いたしますので、まずはお電話ください。

3.すべての年代のお悩みに幅広く対応

当クリニックの婦人科は、すべての年代の女性のお悩みに対応しております。
年齢とともに変化する女性のからだは、年代に応じてその悩みも変化していきます。しかし「何となくこういうもの」と我慢して疾患や不調のシグナルを見過ごしてほしくないため、気になることや不安なことなどを丁寧にヒアリングしております。医師からの説明も「分かりやすい」を心がけておりますので、ご安心ください。

よくある質問(FAQ)

Q:PCOSと診断されました。将来、子供は産めますか?

A: はい、可能です。PCOSは「排卵が起こりにくい」状態ですが、適切なホルモン管理や排卵を促すケアによって、多くの方が妊娠・出産されています。まずはご自身の排卵の状態を正しく把握することが第一歩です。

Q:生理が来ないこと以外に困っていなければ、放置してもいいですか?

A: 放置はおすすめできません。長期間生理が来ない状態は、子宮内膜が厚くなりすぎるリスクを伴います。将来の病気(子宮体がん等)を予防するためにも、定期的に生理を起こす管理が重要です。

Q:ピルを飲むと太ると聞いたのですが、本当ですか?

A: 現代の低用量ピルで太るという医学的根拠はほとんどありません。むしろ、PCOSに伴うホルモンバランスの乱れによる体重増加を、ピルで整えることでコントロールしやすくなるメリットがあります。

ピルについて詳しくはこちら>>

Q:ニキビや体毛の濃さは、PCOSを治療すれば治りますか?

A: ホルモンバランスを整えることで、過剰な皮脂分泌や男性ホルモンの影響が抑えられ、肌荒れや多毛の改善が期待できます。内側からのケアは、長期的に見て非常に有効な手段です。

Q:どのようなタイミングで受診すべきですか?

A: 「生理周期が35日以上になることが多い」「数ヶ月生理が来ない」「大人ニキビが治らない」といったサインがあれば、いつでもご相談ください。早めのケアが、将来のあなたの健康を守ります。

予約・お問い合わせ

私たちのクリニックは、女性の院長が在籍しており、女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添ってカウンセリングをいたします。

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