月経困難症

月経困難症とは

月経困難症(げっけいこんなんしょう)とは、月経時に日常生活に支障をきたすほどの強い痛みや不快な症状が現れる状態を指します。単なる生理痛とは異なり、鎮痛剤を服用しても改善されない激しい下腹部痛や腰痛、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が特徴的です。

月経困難症は大きく「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つに分類されます。機能性は明確な病気が原因ではないもので、主に若い女性に見られます。一方、器質性は子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系疾患が原因となって起こるものです。

この症状により、学校や仕事を休まざるを得ない女性も多く、QOL(生活の質)の低下につながる重要な健康問題として認識されています。適切な診断と治療により症状の改善が期待できるため、我慢せずに婦人科を受診することが大切です。

日本女性の4人に1人が悩む月経困難症の実態

現在、日本では約900万人もの月経困難症の患者がいると推計され、生殖年齢の女性の25%以上、特に25歳未満では40%以上が月経困難症に悩んでいます。しかし、医療機関を受診して治療を受けている人は約55万人と、わずか6%に留まっているのが現状です。

近年、月経管理アプリなどのデジタル技術の普及により、女性が自分の身体と向き合う方法が変わりつつあります。しかし、こうした身体への意識の変化は少しずつ生まれているものの、まだ課題は残されています。「生理のつらさは我慢するべき」といった考えや、「婦人科を受診するのは少し抵抗がある」という気持ちから、受診を先延ばしにしてしまう女性が多いのが現状です。

その結果、日常生活に支障をきたしたまま過ごしたり、数年後にようやく医療機関を受診した時には、すでに疾患が進行していたりするケースも少なくありません。
現在は様々な改善・治療方法が用意されています。一人で我慢を続ける必要はありません。つらいと感じることがあれば、まずは一度当クリニックまでお気軽にご相談ください。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
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月経困難症の症状

月経困難症では、以下のような症状が現れます。これらの症状が複数重なることで、日常生活に大きな支障をきたすことが特徴です。

身体的症状

  • 下腹部の激しい痛み
  • 腰痛や背中の痛み
  • 頭痛やめまい
  • 吐き気や嘔吐
  • 下痢や便秘
  • 全身の倦怠感
  • 発熱や悪寒

精神的・社会的症状

  • 強いイライラや不安感
  • 集中力の低下
  • 抑うつ気分
  • 学校や職場を休まざるをえない
  • 家事や日常活動が困難になる
  • 睡眠障害


これらの症状は月経開始前から月経中にかけて現れ、月経終了とともに軽減するのが一般的です。症状の程度や現れ方には個人差がありますが、日常生活に支障をきたすレベルの症状が継続する場合は、月経困難症の可能性が高いと考えられます。

月経困難症が起きる原因

月経困難症の原因は、大きく分けて「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」の2つのタイプに分類されます。

機能性月経困難症の原因

機能性月経困難症は、特定の疾患が原因ではなく、月経時の正常な生理現象が過度に起こることで生じます。主な原因は「プロスタグランジン」という物質の過剰分泌です。プロスタグランジンは子宮内膜から分泌されるホルモン様物質で、子宮を収縮させて月経血を体外に排出する役割を担っています。

しかし、この物質が過剰に分泌されると、子宮の収縮が強くなりすぎて激しい痛みを引き起こします。さらに、プロスタグランジンは血管を収縮させる作用もあるため、子宮への血流が悪くなり、酸素不足による痛みも加わります。また、この物質が血液中に流れ込むことで、頭痛や吐き気、下痢といった全身症状も現れるのです。

器質性月経困難症の原因

器質性月経困難症は、子宮や卵巣などの婦人科系疾患が原因となって起こります。代表的な疾患には、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫などがあります。これらの疾患により子宮の構造に変化が生じ、月経時により強い痛みや症状が現れます。

特に子宮内膜症では、本来子宮内にあるべき内膜組織が他の場所で増殖・剥離を繰り返すため、炎症や癒着を引き起こし、激しい痛みの原因となります。

PMSとは

PMS(月経前症候群)とは、月経開始の約3~10日前から現れる身体的・精神的症状の総称です。月経困難症が月経中の症状であるのに対し、PMSは月経前に現れる点が大きな違いです。

PMSの症状は多岐にわたり、身体的症状としては乳房の張りや痛み、腹部膨満感、頭痛、むくみ、体重増加、肌荒れなどが挙げられます。精神的症状では、イライラ、不安、抑うつ気分、集中力の低下、感情の起伏が激しくなるなどが特徴的です。

PMSの原因は、排卵後に分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動によるものと考えられています。これらのホルモンバランスの変化が脳内の神経伝達物質に影響を与え、様々な症状を引き起こします。特に重篤な症状が現れるケースをPMDD(月経前不快気分障害)と呼び、日常生活に深刻な支障をきたすため、専門的な治療が必要となります。

こんな症状があったら迷わず受診を

月経困難症もPMSも我慢する必要のない症状です。以下のような状況に当てはまる場合は、早めに婦人科を受診することをお勧めします。

・鎮痛剤を服用しても痛みが改善されない
・月経のたびに学校や仕事を休んでしまう
・感情をコントロールできず怒りや落ち込みがおさまらない
・年々症状が重くなっている

「これくらいの痛みは普通」「みんな我慢している」と自己判断せず、つらいと感じたらそれは治療が必要なサインです。現在は効果的な治療法が数多く用意されており、一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた最適な治療選択が可能です。まずは専門医にご相談ください。

月経困難症/PMSの治療について

月経困難症やPMSは、適切な治療により症状の大幅な改善が期待できる疾患です。「痛みは我慢するもの」という考えから、「症状をコントロールして快適に過ごす」という時代へと変わってきています。治療選択肢も豊富になり、患者さんの症状や生活スタイル、将来の妊娠希望などを総合的に考慮した個別の治療計画を立てることが可能です。

月経困難症では、主に「薬物療法」が行われます。薬物療法には、痛みを抑える「対症療法」と、卵巣や子宮内膜に直接働いて痛みやその他の症状の発生原因を抑える「内分泌療法」などがあります。

「内分泌療法」では、卵巣の働きや子宮内膜の増殖を抑えて、子宮内膜においてプロスタグランジン(=痛みの原因物質でもある)が作られるのを抑えることで、子宮の過度な収縮が抑えられ、痛みをはじめとする月経困難症の症状に対して効果を示すことが期待されています。

なお、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となって月経困難症を来している器質性月経困難症の場合は、原因となっている病気に対する治療(薬物療法、手術療法など)が優先されます。

1.対症薬

痛みに対して痛み止めを使用する、落ち込みに対して抗うつ剤を使用する等、困っている症状に直接対応する薬を使います。
症状の一時的な改善を見込めることと、他の方法と比べて使用方法が比較的手軽なことが利点ですが、一方で、内服を継続しても根本的な治療にはつながりません。

2.ホルモン製剤

いわゆる低用量ピルや超低用量ピル、黄体ホルモン製剤などのことです。

排卵を抑制することで、自分の体から分泌されるホルモンの値が安定します。安定して使用できるまでには大体1-3か月程度かかることが多いですが、他の治療方法と比較して、治療の効果を実感しやすいです。
また、使用することで避妊の効果を得られるので、望まない妊娠をするリスクや、卵巣がんや子宮体がん、大腸がんなどのリスクを減らせることが分かっています。
一方で、使用に伴い血栓症のリスクがわずかに増加することや、毎日決まった時間に内服する必要があることなど、注意すべき点もあります。
 
※ここでいう「安定して使用できる」というのは、初期に起こることが多い副作用(嘔気、倦怠感、不正出血など)が改善し、使用方法に慣れ、月経困難症やPMSの症状が軽くなることを実感できることを指します。

3.漢方薬

ホルモン製剤に比べて即効性のある治療ではありませんが、症状や体質に合う薬を使用することで、症状が徐々に改善してくることが期待できます。また、血栓症などのリスクがないため、比較的気軽に始められる治療と言えるでしょう。

一方で、薬剤の多くが粉末状であることや、味や匂いが独特であること、他の治療と比較して思うような効果を得られない等のデメリットがあります。

その他の選択として、子宮内にホルモン製剤を放出する小さな器具(ミレーナ)を入れる方法や、器質性月経困難症の一部に対しては手術での治療を選択することもあります。
また、当クリニックでは鍼治療もご案内しております。

鍼治療について詳しくはこちら>>

自宅で試せる月経困難症の対処法

医療機関での適切な治療が最も重要ですが、日常生活の中で症状を緩和する方法もあります。これらの対処法は治療と併用することで、より効果的な症状改善が期待できます。

1.身体を温める

  • 使い捨てカイロや湯たんぽで下腹部や腰を温める
  • 温かい飲み物を積極的に摂取する
  • 入浴時はぬるめのお湯にゆっくり浸かる
  • 温かい部屋で過ごし、冷房の効きすぎに注意する

2.適度な運動とストレッチ

  • 軽いウォーキングやヨガで血行を促進する
  • 骨盤周りのストレッチを行う
  • 普段から適度な運動習慣を身につける
  • 痛みがひどい時は無理をせず安静にする

3.食生活の改善

  • 鉄分やビタミンB群を含む食品を意識的に摂取する
  • カフェインやアルコールの過剰摂取を控える
  • 塩分や糖分の取りすぎに注意する
  • 規則正しい食事時間を心がける

4.ストレス管理と休息

  • 十分な睡眠時間を確保する
  • リラクゼーション法や深呼吸を取り入れる
  • 趣味や好きなことでストレス発散する
  • 月経期間中は無理なスケジュールを避ける


ただし、これらの対処法で症状が改善されない場合や、日常生活に支障をきたすほどの症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。

ソウクリニック四条烏丸の特長

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女性院長をはじめとする女性医師・スタッフが、デリケートなお悩みに親身に寄り添います。話しにくいことも、安心して相談いただけます。

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