子宮頸がんとは
子宮頸がん(しきゅうけいがん)は、女性にとって身近ながんの一つで、子宮の入り口にあたる子宮頸部にできるがんです。子宮は、赤ちゃんを育む子宮体部と、その下にある子宮頸部に分かれており、子宮頸がんはこの出口付近の粘膜(上皮)から発生します。
子宮がんには、子宮頸がんと、子宮の奥にできる子宮体がん(子宮内膜がん)の2種類がありますが、原因やなりやすい年齢層が異なります。子宮頸がんは、その原因から発症するまでのプロセスがほぼ解明されているため、「予防できるがん」、あるいは「検診で早期に発見し、がんになる前に治せるがん」として知られています。
日本の現状:若い世代に増加している理由
国内では、毎年約1万人の女性が子宮頸がんと診断され、約3,000人の方が亡くなっています。特に問題視されているのは、20代から30代の比較的若い女性で患者数が増加している点です。以前は40代から50代がピークでしたが、現在では20~39歳の女性の中で最も多いがんとなっています。
この背景には、主に性交渉を通じて感染するウイルスが原因であることが関係しています。若年層での発症が増えているからこそ、仕事や出産といったライフイベントを控えた大切な時期に影響を及ぼすことが多く、早期の対策が不可欠です。ご自身と大切なご家族の未来を守るためにも、正確な知識を持ち、予防と検診を始めることが極めて重要です。
子宮頸がんの原因
ほとんどの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染
子宮頸がんの原因のほとんど(95%以上)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)という、ごくありふれたウイルスの感染であることが分かっています。このウイルスは、主に性的な接触(性交渉)によって、女性だけでなく男性にも感染します。性交渉の経験がある女性であれば、誰でも一度は感染する可能性があると言われており、特定のパートナーの人数や経験の有無にかかわらず、性交経験のある女性の約80%が一生に一度は感染するとされています。
HPVの感染は特別なことではありません。ウイルスは粘膜の接触があれば感染するため、コンドームを使用しても完全には防げないこともあります。
感染から「がん」になるまでのステップ
HPVに感染しても、多くの場合(約90%)、自分の免疫力でウイルスが自然に排除されます。そのため、感染したからといって必ずがんになるわけではありません。
しかし、残りの約10%でウイルスが長期間にわたって排除されずに持続感染すると、子宮頸部の細胞に異常な変化が起こり始めます。この異常な変化は、「異形成(いけいせい)」と呼ばれ、がんの一歩手前の段階(前がん病変)です。
この異形成の状態が、数年~数十年という長い時間をかけて徐々に進行し、最終的に「子宮頸がん」へと移行すると考えられています。この長い進行の道のりが、子宮頸がん検診によって「がんになる前に発見し、治療するチャンス」を与えてくれているのです。
リスクを高めるその他の要因
HPVの持続感染が主要な原因ですが、がんの発症リスクを高める要因として、喫煙、多産(妊娠・出産の回数が多い)、性交渉の経験が多い、初交年齢が低い、セックスパートナーが多い、といった要素が知られています。特に喫煙は、HPVの感染持続や進行に関与するとされています。
子宮頸がんの症状
初期は無症状なのが最大の特徴
子宮頸がんの最も重要な特徴は、がんの初期段階では、ほとんど自覚症状がないことです。痛みも出血もなく、健康な時と全く変わらないため、ご自身で気づくことは非常に困難です。そのため、自覚症状を待っていると、がんが進行してしまう危険性があります。
症状がないからこそ、定期的ながん検診で、がんになる前の段階である「異形成」や初期の「がん」を発見することが唯一の対策となります。
進行した場合の主な症状
がんが進行し、子宮頸部の奥深くまで広がったり、周辺の組織に及んだりすると、以下のような自覚症状が現れます。これらの症状に気づいた場合は、がんが進行している可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
- 不正出血(月経時以外の出血):最も多い症状です。生理ではないのに出血がある、少量の出血が続くなど。
- 性交時出血(接触による出血):性交渉の際や、内診の後に少量の出血が見られる。
- おりものの異常:いつもと違うにおいを伴う、量が増える、濃い茶色や膿(うみ)のような色のおりものが出る。
- 下腹部や腰の痛み:がんが進行し、周辺の神経を刺激するようになると痛みが生じます。
- 血便・血尿・下肢のむくみ:さらに進行し、膀胱や直腸、血管などに影響を及ぼし始めた場合に現れることがあります。
これらの症状は、子宮頸がん以外の良性疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、腟炎など)でも起こり得るものですが、自己判断せずに専門医の診察を受けることが大切です。
子宮頸がんの予防・対策
1次予防:HPVワクチンの接種
子宮頸がんの原因となるHPVの感染を事前に防ぐのが、HPVワクチンです。9価ワクチンでは、子宮頸がんの原因の約9割を予防できます。当院では定期接種やキャッチアップ接種対象の方へ正確な情報提供と接種を行っております。性交渉経験の有無にかかわらず接種の意義は大きいため、まずはご相談ください。
2次予防:定期的な子宮頸がん検診
ワクチン接種者も含め、すべての方が欠かせないのが子宮頸がん検診(細胞診)です。子宮頸がんは初期には無症状のため、20歳を過ぎたら2年に一度の定期的な検診が必須です。検診では、がんになる前の段階である「異形成」を発見し、早期に治療することで子宮を温存できる可能性が高まります。症状がない今だからこそ、当院で検診を受け、ご自身の安心を確保しましょう。
当院では京都府・京都市の子宮頸がん検診を受け入れております
当クリニックでは、京都府・京都市の子宮頸がん検診を受け入れております。
自治体から通知が届いた方は、お早めに検診の予約を入れましょう。ご予約時には、通知をお持ちの旨をお知らせください。
お電話・WEBよりご予約いただけます。
当クリニックでの検査について
子宮頸部細胞診
子宮の入り口部分である子宮頸部から、専用の器具を使って細胞を採取し、がん細胞や前がん病変の異常な細胞がないかを顕微鏡で詳しく調べる検査です。検査は短時間で終了し、痛みもほとんどありません。子宮頸がんの早期発見に最も有効な検査方法として、国内外のガイドラインで推奨されています。
超音波検査(エコー)
子宮や卵巣の形状、大きさ、内部の状態を画像で詳細に観察する検査です。子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症などの良性疾患から、卵巣がんなどの悪性疾患まで幅広く発見することができます。リアルタイムでご自身の子宮や卵巣の状態を確認でき、医師からも詳しい説明を受けることができるため、多くの女性に安心感を提供しています。
子宮頸がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、症状がなくても定期的な検査を受けることが極めて重要です。早期発見により治癒率が大幅に向上し、妊娠・出産への影響も最小限に抑えることができます。年に一度の検査で、ご自身と大切なご家族の未来を守りましょう。
※京都市の子宮頸がん検診では、超音波検査は対象外となります。
※月経中は検査の精度が下がることがあるため、月経中の受診は避けていただくようお願いいたします。
検査費用について
| 子宮頸がん検診(細胞診のみ) | 3,300円 |
|---|---|
| 子宮頸がん検診(細胞診+エコー) | 8,800円 |
※上記費用は自費診療時の金額となります。
※そのほか、検査費用についてご不明点がある方は、お電話でのご質問も受け付けておりますので、気軽にお問合せください。
ソウクリニック四条烏丸の特長
1.女性の院長が在籍し、女性医師・女性スタッフが対応
女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添って女性医師がカウンセリングをいたします。婦人科は検査も女性スタッフが対応しておりますので、はじめて婦人科にかかる方も、安心してご相談いただけます。
2.完全予約制で待ち時間少なく快適な診療体験を
当クリニックは完全予約制のため、待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。ご予約はお電話または24時間365日WEBにて受け付けております。診察時間は月曜日から土曜日までは朝9時半から5時まで、木曜日は夜7時まで行っております。また、お問合せ時の状況によっては、予約なしでも診察いたしますので、まずはお電話ください。
3.すべての年代のお悩みに幅広く対応
当クリニックの婦人科は、すべての年代の女性のお悩みに対応しております。
年齢とともに変化する女性のからだは、年代に応じてその悩みも変化していきます。しかし「何となくこういうもの」と我慢して疾患や不調のシグナルを見過ごしてほしくないため、気になることや不安なことなどを丁寧にヒアリングしております。医師からの説明も「分かりやすい」を心がけておりますので、ご安心ください。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
よくある質問(FAQ)
Q:性交渉の経験がなければ、検診は必要ないですか?
A: 基本的に子宮頸がんの原因はHPV(性交渉で感染)ですが、性交経験がない方でも稀に感染する可能性は否定できません。また、子宮体がんなど他の婦人科疾患のチェックのためにも、20歳を過ぎたら一度は婦人科検診を受けることをおすすめします。
Q:ワクチンを接種していれば、検診はもう受けなくていいですか?
A: いいえ、検診は必要です。HPVワクチンはすべての子宮頸がんの原因となるHPVの型をカバーしているわけではありません。予防効果があっても100%ではありませんので、ワクチン接種後も20歳からは2年に一度の定期検診が推奨されています。
Q:生理中でも検診を受けることはできますか?
A: 原則として、生理中(月経期間中)は避けてご予約ください。正確な細胞が採取できず、検査結果に影響が出る可能性があるためです。生理が終わってから数日後以降の受診をおすすめします。
Q:HPVに感染したら、必ずがんになってしまうのでしょうか?
A: いいえ、必ずがんになるわけではありません。性交渉経験のある女性の約8割が一度は感染しますが、ほとんどの場合、免疫力によって自然に排除されます。持続感染した場合でも、がんになるまでには数年~数十年かかります。そのため、検診による早期発見が可能です。
Q:どのような症状があればすぐに受診すべきですか?
A: 早期のがんには症状はありませんが、不正出血(特に性交後の出血)、月経時以外の出血、異常なおりものの増加など、自覚症状が出た場合は、進行している可能性があるため、すぐに受診してください。症状の有無にかかわらず、2年に一度の定期検診は大切です。
予約・お問い合わせ
私たちのクリニックは、女性の院長が在籍しており、女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添ってカウンセリングをいたします。
Webからご予約いただけます。まずは気軽にご相談ください。




