陥没乳頭とは
陥没乳頭とは、乳頭(乳首)が突出せずに乳輪の奥に引き込まれたり、先端がくぼんだりしている状態を指します。
その程度は人によって様々で、軽度のものから重度のものまでさまざまです。
以前は陥没していなかった乳首が徐々に陥没してきたり、引きつれたりする場合は乳がんなどの可能性があります。
ご不安な方は、一度お早目の診察をお勧めします。
陥没乳頭の特徴
陥没乳頭には以下ような特徴があります。
- 乳頭が乳輪より内側に引っ込んでいる
- 刺激を与えても乳頭が十分に突出しない
- 乳頭中央に溝があり、汚れがたまりやすい
- 乳頭にかゆみを感じる
陥没乳頭の症状・程度
陥没乳頭の症状は主に乳頭(乳首)の陥没ですが、その程度によって以下のように分類されます。
軽度:指で簡単に引き出せるが、再び陥没す
中等度:ピンセットなどで引き出せるが、すぐに陥没する
重度:指では全く引き出せず、手術が必要
重症の場合、くぼみに汚れがたまりやすく、感染のリスクが高まります。
感染すると、赤みや腫れ、膿の分泌などの症状が現れることがあるため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
陥没乳頭の原因
陥没乳頭には先天性と後天性の2つの原因があります。
先天性の原因
先天性の陥没乳頭は、母乳を作る乳腺組織と母乳が通る乳管の発達のバランスが悪いことが主な原因とされています。
また、家族性の傾向も見られ、先天性陥没乳頭の約半数は遺伝によるものとも言われています。
- 乳腺と乳管の発達バランスの不良
- 乳頭を内側に引っ張る索状物(固い組織)の存在
後天性の原因
後天性の場合は、以下のような様々な原因で乳房の形状が変化し陥没乳頭が生じることがあります。
- 乳房への打撲や外傷
- 急激な体重減少
- 乳腺炎の後遺症
- 乳房への外科治療
- 乳がんなどの悪性腫瘍
特に、乳がんなどの悪性疾患が原因となっている可能性もあるため、注意が必要です。
陥没乳頭を放置しておくと
陥没乳頭の診断
陥没乳頭の診断は、主に視診と触診で行われます。ただし、後天性の陥没乳頭の場合、悪性腫瘍の可能性も考慮して以下のような検査を行うことがあります。
- マンモグラフィ
- エコー(超音波検査)
- MRI
- CT
これらの検査により、乳がん等の他の疾患の可能性も含め診断を行います。
陥没乳頭の治療
陥没乳頭の治療には、保存的治療と外科的治療があります。中等度から重度の場合は外科的治療を行う場合もありますが、指でつまむと簡単に引き出せるような軽度の場合は保存的治療で治ることがあります。
保存的治療とは
- 吸引器を用いた治療
- 軽度の場合に有効
- 数か月から数年の治療期間が必要な場合も
保険適用について
40歳未満で授乳の予定がある方や、乳輪下膿瘍を繰り返している場合などは、健康保険が適用される可能性があります。
よくある質問(FAQ)
Q: 陥没乳頭はどのくらいの人に見られますか?
A: 成人女性の約10人に1人に見られる比較的一般的な状態です。片方または両方の乳頭に起こる可能性があります。
Q: 陥没乳頭でも授乳は可能ですか?
A: 陥没乳頭があっても完全母乳を目指すことは可能です。ただし、通常よりも時間がかかる場合が多いです。
赤ちゃんは乳首だけでなく乳輪全体を口に含んで母乳を飲むため、軽度から中等度の陥没乳頭であれば授乳可能な場合もあります。
しかし、重度の陥没乳頭の場合は授乳が困難になる可能性が高いため、妊娠中や出産前に治療を検討することをおすすめします。
Q: 陥没乳頭は必ず治療が必要ですか?
A: 軽度の場合や症状がない場合は必ずしも治療は必要ありません。ただし、授乳に支障がある場合や感染リスクが高い場合は治療をお勧めします。
Q:陥没乳頭は乳がんのリスクを高めますか?
A: 陥没乳頭自体は乳がんのリスクを高めません。ただし、突然の陥没は要注意です。症状があらわれた方は早めの医療機関の受診をお勧めします。
Q:片方だけ陥没乳頭することもありますか?
A: 片側のみの陥没も珍しくありません。陥没の程度も人によって様々です。
Q:陥没乳頭には特別な洗い方がありますか?
A: 陥没乳頭に限らず乳頭の皮膚はデリケートですので、強く洗ったり爪をたてて擦ったりしないようやさしく洗いましょう。
陥没乳頭の場合は特に汚れが溜まりやすいので、コットンにオイルを浸したものをあて乳頭をふやかした後に、指の腹でやさしくふき取りましょう。
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