乳腺症とは?
乳腺症は、女性ホルモンのバランスの変動によって起こる良性の状態です。乳腺組織が過剰に刺激されることで、様々な症状が現れる状態を指し、その症状には個人差がありますが、主なものとして以下の症状が挙げられます。
- 乳房や乳房周辺の痛み:軽い痛みから、何もしていなくても感じる強い痛みまで、個人差がありますが、症状としては最も代表的です。
- 乳房のしこりや張り:乳腺組織の一部が肥大化し、触れるとかたく感じられます。
- 乳頭からの分泌物:透明や白っぽい液体が出ることがあります。
これらの症状は生理前に強くなり、生理中や生理後に和らぐ傾向があります。30~40代の方によく見られ、閉経後には落ち着いていくことがほとんどです。 生理と連動することが多いですが、症状の程度や周期性には個人差があるため、「いつものことだから大丈夫」と我慢せずに、専門医の診断を受けることが重要です。
乳腺症の原因
乳腺症の主な原因としては、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンのバランスの変化が挙げられます。乳腺組織が女性ホルモンの影響を受けることにより、乳腺症が発症すると考えられています。年齢を重ねるごとに女性ホルモンバランスの変化は起こりやすく、乳腺症も30代以降の女性に多く見られます。
生活習慣が関係することも
乳腺症の原因は生理だけではありません。自律神経の乱れも、ホルモンの分泌と連動しています。
自律神経の乱れは、ストレスや不規則な生活リズム、睡眠不足などを原因とするため、症状がある方は、生活習慣の見直しをしてみましょう。
また、乳房の痛みや張りがつらいときは、症状を悪化させるカフェインの過剰摂取や脂肪分の多い食事は避けた方が良いでしょう。
乳腺症になりやすい方
乳腺症になりやすい方の特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 30~50代
- 生理不順または排卵がない
- 流産経験がある
- 生活が不規則である
- 睡眠が不足しがち、ストレスが多い
複数あてはまる方は注意が必要ですが、乳腺症は疾患ではないため、あまり身構えずに、症状を緩和できるよう、また新たな症状に気づけるよう自身のからだと向き合う姿勢が大切です。
乳腺症と更年期の関係
乳腺症は、ホルモンバランスの変化に影響を受けるため、ホルモンバランスの変化が起こりやすい更年期に症状が強くなることがあります。
一方で、閉経後は、女性ホルモンの変動がなくなるため痛みや張りの症状もなくなります。もし閉経後にしこりや痛み、張りを感じた場合は、注意が必要です。速やかな医療機関の受診をお勧めします。
乳腺症の症状・程度
乳腺症の主な症状は、乳房のしこり、痛み、張り、そして乳頭からの分泌物です。その程度は個人差が大きく、軽度から重度まで様々です。
軽度:
・軽い不快感や小さなしこり
・日常生活への影響はほぼなし
中程度:
・明確な痛みやしこり
・生理前に症状悪化
・日常生活に多少の支障あり
重度:
・強い痛みや大きなしこり
・頻繁な分泌物
・日常生活に著しい支障あり
多くの場合、症状は生理周期と連動し、左右の乳房に現れやすいのが特徴です。
乳腺症は良性の状態ではありますが、これまでと異なる新たな変化を感じたら、症状の軽重に関わらず受診することが大切です。
乳腺症の治療
乳腺症は基本的に治療が必要なものではありませんが、症状の程度や患者さんの希望に応じて個別に対応します。
経過観察
軽度の症状の場合は、定期的な検診で経過を見守ります。3〜6ヶ月ごとの検診をお勧めしています。
生活習慣の改善
症状の緩和や予防のため、以下のような生活習慣の改善をアドバイスします。
- カフェイン摂取の制限:コーヒーやお茶の摂取量を減らします。
- バランスの良い食事:野菜や果物を多く取り入れ、脂肪分を控えめにします。
- 十分な睡眠:規則正しい睡眠習慣を心がけます。
- 適度な運動:ウォーキングなど、無理のない運動を継続します。
上記のほか、痛みが強い場合は、ホルモンバランスを整える薬や鎮痛剤を処方して薬物療法を行うこともあります。
乳腺症と乳がんの関係
乳腺症自体が直接乳がんに進行することはありません。
ただし、乳腺症と乳がんは、しこりなどの症状や罹患年齢が似ているため、注意が必要です。乳腺症だからと自己判断で放置せずに、いつもと違う症状を感じた場合は、医療機関にて適切な検査を行い、乳がん鑑定を行うことが重要です。
また、乳腺症の場合、乳房組織の密度が高くなり、マンモグラフィでの乳がんの発見が難しくなることがあります。これまでの乳がん検診で乳腺症と診断されたことがある方は、定期的な乳がん検診を忘れないようにしましょう。
乳腺症の症状管理や予防のための生活習慣の改善は、乳がんの予防にも役立つ可能性があります。新たな変化や気になる症状があれば、迷わず医療機関を受診することが大切です。
乳房のセルフチェック
チェック頻度: 毎月1回、生理が終わって1週間程度経った時期に行うのが理想的です。閉経後の方は、毎月決まった日に行いましょう。
チェックポイント①(鏡の前で)
- 乳房の大きさや形に左右差がないか
- 乳頭のへこみや皮膚のただれがないか
- 両腕を上げた時に乳房の形に変化がないか
チェックポイント②(横になって)
- しこりや硬いところがないか
- 痛みを感じる箇所はないか
- 乳頭を軽く押して、分泌物が出ないか
医療機関での定期的な検診も大切ですが、「いつもと違う感じ」に気づけるよう、普段から自身のからだをチェックすることも重要です。
ご予約から診察までの流れ
当クリニックでは、最新の医療機器と経験豊富な専門医による以下の検査を行い、乳がんとの鑑別を含めた正確な診断を行います。
乳腺外科では、女性医師と女性スタッフが対応します。
「これまではなかなか聞きづらかった」「こんなこと聞いていいのか分からない」のようなお悩みをお持ちの方も、安心して何でもご相談ください。
ご予約
当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。
※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。
診察(問診・触診)
専門医が症状の詳細や生活習慣などをお聞きし、乳房の状態を丁寧に確認します。これにより、患者さまの状態を総合的に把握します。
不安な症状がある方は、安心してご相談ください。診察の結果、必要に応じて検査を行います。
検査
検査の種類や順序は、症状や年齢に応じて最適なものを選択いたします。
ここでは、乳腺症でよく行う検査について説明します。
超音波検査(エコー)
痛みがなく、放射線被ばくのない安全な検査です。乳房の内部構造を詳細に観察でき、小さなしこりの発見に優れています。
マンモグラフィ
乳房のX線撮影を行い、状態を観察していきます。乳がんの特長である石灰化の有無など、他の病変の検出にも有用です。当クリニックでは、最新機器である3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)を導入しています。
これらの検査を組み合わせることで、乳房全体の観察と、他の疾患(特に乳がん)との鑑別を行います。
検査結果は専門医が丁寧にご説明し、患者さまの不安解消に努めています。
よくある質問(FAQ)
Q: 乳腺症は乳がんになりやすいのでしょうか?
A: 乳腺症自体が乳がんに進行することはありません。ただし、乳がんとの症状の類似性から、定期的な検診が重要です。乳腺症があることで乳がんの発見が遅れる可能性もあるため、自己触診と定期検診を組み合わせた早期発見が大切です。
Q: 閉経後も乳腺症の症状は続きますか?
A: 多くの場合、閉経後は症状が自然にやわらぐ傾向にあります。これは女性ホルモンの分泌が減少するためです。ただし、個人差があるため、閉経後も定期的な検診をお勧めしています。
Q:乳腺症の痛みはどのようなものですか?
A: チクチクとした痛みや張り感が一般的です。痛みの程度には個人差があります。生理前に痛みが強くなり、生理中や生理後に和らぐ周期性がよく見られます。ただし、強い痛みや持続的な痛みがある場合は、他の疾患の可能性もあるため、必ず診察を受けてください。
Q:治療期間はどのくらいですか?
A: 症状や治療方法によって異なりますが、多くの場合、数ヶ月から1年程度で症状の改善が見られます。生活習慣の改善や薬物療法を組み合わせることで、より早く症状が緩和されることもあります。ただし、完全に症状がなくなるわけではなく、周期的に症状が現れることもあるため、長期的な管理が必要です。
Q:乳腺症は遺伝しますか?
A: 乳腺症自体に強い遺伝性はありませんが、家族歴がある場合、発症リスクが若干高まる可能性があります。ただし、生活習慣や環境要因の影響も大きいため、家族歴があるからといって必ず発症するわけではありません。
Q:乳腺症の予防法はありますか?
A: 完全な予防法はありませんが、以下のような生活習慣の改善が症状の軽減や予防に役立つ可能性があります。
- バランスの取れた食事を心がける
- 適度な運動を行う
- ストレス管理を行う
- 十分な睡眠をとる
- カフェインや脂肪分の摂取を控える
- 定期的なセルフチェックと乳がん検診を受ける
Q:乳腺症の治し方を教えてください
A: 乳腺症は疾患ではなく、その症状も様々であるため、これといった治療方法はありません。痛みが強い場合は投薬により症状緩和を目指す方法もありますが、基本的には経過観察となります。自律神経の乱れは症状の悪化にもつながりますので、生活習慣の見直しやカフェイン・ニコチン・脂質の多い食事は控えると良いでしょう。
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