動悸がするんだけど、これは病気?
その動悸、病気が隠れているかもしれません
「動悸」の訴えがある方は決して珍しくありません。
「最近、よく動悸がするんです。」
病院にいらっしゃらない方でも、実はこの訴えをされる方は少なくありません。健康診断などでお話をうかがうと「病院を受診するほどでもないとは思うんですが、、、、実は、」といって相談いただくことが少なくありません。
皆様も、「実は動悸が気になっている」ということはありませんか?
人によって「動悸」の訴え方はさまざまです。
しかしこの「動悸」という言葉は、非常に「あいまい」な言葉だと思いませんか?
ある方(Aさん)が訴える「動悸」と、別の方(Bさん)がおっしゃる「動悸」は内容が異なる、ということがよくあります。
そのため、私たち医療者は、「あなたの動悸はどんな動悸でしょうか?」とお伺いして、どんなタイプの動悸なのかを深堀りしていきます。
問診であなたの「動悸」の原因の「アタリ」がつきます
たとえば、「心臓の鼓動がときどきパッと飛ぶような感じ」とか「心臓の鼓動がときどきドクンと強く打つ感じがする」という動悸は非常に多いです。これらのことを私たちは「脈の結滞」という専門用語で呼ぶことがあります。
一方、「緊張したりすると、自分の脈がずーっと強くドックンドックンいっているように感じる」という訴えの方もいます。こういう「自分の脈を強く感じてしまう」場合の動悸を「心悸亢進」と呼んだりします。
さらに、「洗濯物を干していたら突然心臓がドキドキドキドキドキドキ!!とすごいスピードで脈を打ち始めて、胸がしんどくなったり、意識が遠のいたりするんです」と激しい動悸症状を訴えて救急車を呼んだり救急外来に駆け込む方もいらっしゃいます。これは頻脈発作(不整脈)の可能性が高い症状で、われわれ医療者はこの症状のことをまさに「(狭い意味での)動悸」と呼びます。
あなたの「動悸」はどのパターンですか?
もしご自身で判断するのが難しかったり、念のため専門家の話を聞いてみたい、という場合は遠慮なく内科をご受診ください。副院長(駒井)は、循環器内科が専門です。超急性期病院で緊急のカテーテル治療や救命救急に携わりながら、1年に170件近いカテーテルアブレーション(不整脈治療)を担当したり、不整脈専門外来を担当するなど、「動悸」診療の経験が豊富な医師です。
詳しく話を聞きながら、ご自身の動悸とどう付き合い、向き合っていくべきか相談しましょう。不整脈発作の場合は、症状が出ている最中に検査をしないと異常が指摘できないケースも多いのです。「動悸は問診が90%」といっても過言ではありません。
当院では心電図や採血検査などもスムーズに実施できます。もちろん、無症状の場合は異常が見つからないかもしれませんが、ヒントが見つかることもあります。
動悸を引き起こす、注意が必要な病気
詳しくは、また次回以降のコラムで解説していきますが、動悸の原因として考えられる疾患は以下のようなものが代表的です。
期外収縮
よく健康診断の心電図で指摘されることがあるものです。
いわゆる「脈がときどき飛ぶような感じがする」というタイプの動悸(脈の結滞)を訴えられるケースが多いです。頻度が多い場合や、症状が強い場合は治療適応となることがありますので、一度遠慮なくご相談にいらしてください。まずは薬物療法や生活習慣改善などを一緒に検討しましょう。
(例:心室期外収縮、上室(心房)期外収縮)
不整脈
緊急性のある病気のことがあります。特に、意識がもうろうとするような場合は、急いで救急車を呼んでください。
「急に始まり、急にピタッと止まる」タイプの動悸発作がある方は、たとえば以下のような不整脈のことがあります。動悸が出ていなくても心電図をとってみたらヒントが隠れているケースもありますし、ご年齢や家族歴などからどの不整脈が原因か想像がつくこともありますので、こちらについても遠慮なくご相談にいらしてください。とくに、「心房細動」はとても頻度が多いうえ、「脳梗塞」を引き起こすこともある非常に注意が必要な病気です(長嶋茂雄監督を襲った脳梗塞の原因として、有名になりました)。
(例:心房細動、発作性上室頻拍、WPW症候群、心室頻拍)
その他(貧血、肺疾患、心疾患、甲状腺機能異常)
こちらは「息切れ」と呼ぶのが適切なケースがあります。いわゆる、「全力疾走した後」のような状態になることです。
昔は体力もあって、すごく激しく動き回ったときくらいにしか出なかったようなこの「ゼーハー」いうような息切れ症状、胸のドキドキ感。この症状がなぜか、ちょっと身体を動かしただけなのに出る。そんな症状のことを私たちは「動悸・息切れ」と呼びます。
いわば体力が落ちているような症状であり、心肺機能の低下(心疾患・肺疾患)を疑いますので、ぜひ精密検査を受けてください。
若い女性でも、極度の貧血があるとこのような症状をきたす場合があります。さらに、女性によくある病気として甲状腺機能異常がありますが、この症状として動悸・息切れをきたす方も少なくありません。
さらに、上記のような疾患が隠れていない場合でも、精神的・心理的なストレスによりご自身の脈を強く感じてしまうケースがあります。
この記事を見て、何か少しでも気になることがあれば、「心電図をとりつつ、相談だけでもいこう」という気軽な気持ちでいらっしゃって構いません。
遠慮なくホームページの電話番号からご予約ください。電話に抵抗がある方はweb予約も受け付けておりますので、まずは一度ご相談にいらしてください。
文責:副院長:駒井翼