ピル

ピルとは

ピル(経口避妊薬)は、女性の体内で分泌される2種類の女性ホルモン(卵胞ホルモン:エストロゲンと黄体ホルモン:プロゲスチン)を配合した内服薬です。これらは、ホルモン含有量や成分の組み合わせによって、大きく低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)とミニピル(黄体ホルモン単剤ピル)に分けられます。

低用量ピル(OC)は、医師の診察と処方箋が必要な医療用医薬品です。避妊効果に加え、月経痛の緩和や月経不順の改善などの治療目的でも処方されます。

ピルは、単なる避妊薬としての役割を超え、月経に伴う様々なトラブルを改善し、女性のライフプランニングとQOL(生活の質)向上を支える重要なツールです。当クリニックでは、患者様一人ひとりのライフスタイルや体の状態に合わせて、最適なピルの種類をご提案いたします。特に、従来型のピルが服用できなかった方には、ミニピルという新しい選択肢も提供しています

低用量ピルのメリットと仕組み

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲスチンの合剤であり、主に排卵を抑制することで高い避妊効果を発揮します。この作用は、避妊以外にも女性の体に多くの恩恵をもたらします。

1. 確実で自己管理しやすい避妊効果正しく毎日服用することで、避妊成功率は極めて高い水準を誇ります。飲み忘れがない限り、避妊具に頼るストレスや不安から解放されます。
2. 月経困難症(生理痛)の改善ピルは子宮内膜の増殖を抑えるため、月経時に剥がれ落ちる内膜の量が減少し、月経量(過多月経)が軽減します。これにより、生理痛の原因物質(プロスタグランジン)の産生も抑えられ、つらい生理痛(月経困難症)が大幅に緩和されます。
3. 月経周期のコントロールとPMSの改善周期の安定: 規則的にピルを服用することで、月経の開始日を正確に予測できるようになり、旅行や試験などの予定と重ねずに済みます。
PMS(月経前症候群)の緩和: 服用によりホルモン変動が緩やかになるため、月経前に起こるイライラ、頭痛、腹部の張りなどのPMS症状が軽減することが期待できます。
子宮内膜症の予防・治療: 内膜の増殖を抑える作用が、子宮内膜症の進行を抑制し、痛みの治療に繋がります。

低用量ピルは、これらの作用により、生理期間だけでなく、女性の日常生活全体をより快適で計画的に変える力を持っています。

月経困難症について詳しくはこちら>>
PMSについて詳しくはこちら>>

ミニピル(スリンダ錠など)の特性とメリット

従来、低用量ピル(OC)はエストロゲンを含むため、血栓症リスクの高い方や、授乳中の方などには処方ができませんでした。そこで近年、新たな選択肢として注目されているのが、黄体ホルモン(プロゲスチン)のみを含むミニピルです。

ミニピルとは

ミニピルは、エストロゲンを含まないため、エストロゲンフリーピルとも呼ばれます。プロゲスチンのみで避妊効果を発揮し、その主な作用は、子宮の入り口の粘液を変化させて精子の侵入を防ぐこと、子宮内膜を着床しにくい状態にすることです。

ミニピルのメリット

特に新しいミニピルとしてスリンダ錠があります。スリンダ錠は、黄体ホルモンとしてドロスピレノンを含有しており、超低用量に分類されます。

血栓症リスクの回避エストロゲンを含まないため、血栓症の既往がある方やリスクが高い方、そして高血圧の方など、低用量ピルが禁忌とされていた方も服用できる可能性があります。
授乳中でも服用可能エストロゲンが含まれないため、産後まもなく授乳中の方でも比較的安全に服用できます。
休薬期間中の出血が少ない従来のミニピルと比較して、スリンダ錠は休薬期間中の消退出血が安定し、ほとんど出血がなくなる方も多いことが特徴です。

当クリニックでは、患者様の持病や体質に応じて、低用量ピルが最適か、あるいはスリンダ錠のようなミニピルが最適かを慎重に判断し、安全な処方を追求しています。

低用量ピル服用における注意点

ピルは安全性の高い薬ですが、服用開始前にリスクを理解し、注意点を守ることが重要です。

血栓症のリスク: ピルに含まれるエストロゲンは血液を固まりやすくする作用があるため、ごく稀に血管に血栓ができる血栓症のリスクがあります。35歳以上で1日15本以上喫煙する方や、前兆を伴う片頭痛のある方などは服用できません。当クリニックでは、問診や検査でリスクを徹底的に評価します。

飲み忘れに注意: 毎日決まった時間に服用することが、避妊効果を維持するための絶対条件です。特に飲み始めの時期は飲み忘れが起こりやすいため、アラーム設定など生活リズムに組み込む工夫が必要です。ミニピルは低用量ピルよりも飲み忘れに厳格な注意が必要です。

性感染症の予防効果はない: ピルは避妊効果がありますが、性感染症(STD)を防ぐ効果はありません。性感染症の予防のためには、コンドームの併用が必要です。

初期の副作用: 服用開始から1〜2ヶ月は、吐き気、頭痛、不正出血などのマイナートラブルが起こることがあります。これらは体が慣れるにつれて軽快することが多いですが、つらい場合は我慢せず医師にご相談ください。

ピルの副作用とリスクについて

服用開始後の1〜2ヶ月に多く見られますが、多くは体が慣れるにつれて軽減します。

  • 不正出血(飲み始めの時期に起こりやすい)
  • 吐き気・嘔吐(服用初期に感じやすい)
  • 頭痛・めまい
  • 乳房の張り・痛み
  • むくみ・体重増加(一時的なものがほとんど)

重大なリスク

最も注意すべきは血栓症です。以下の症状が見られたら直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。

  • 血栓症
  • 急な足の痛みや腫れ(特に片側のみ)
  • 突然の息切れや胸の痛み
  • 激しい頭痛や舌のもつれ
  • 急に物が見えにくくなる

ピルの服用をお勧めできない人

1. 共通してピル全般が服用できない方(禁忌)
ピルの種類に関わらず、服用によって病状が悪化するリスクがあるため、原則として服用できません。

・妊娠中またはその可能性がある方。
・乳がん、子宮体がんなど、ホルモンによって悪化する可能性のある病気がある方。
・原因不明の不正性器出血がある方(出血の原因を特定するため)。
・重度の肝機能障害がある方。

2. 低用量ピル(OC)の服用が特に難しい方
エストロゲン成分によるリスク回避のため、これらのケースではミニピルが検討されます。

・血栓症の既往歴がある方:OCは禁忌ですが、エストロゲンを含まないミニピルは代替として検討できます。
・35歳以上で喫煙習慣がある方:OCは血栓症リスクが極めて高くなるため原則禁忌ですが、リスクが低いミニピルが選択肢になります。
・重度の高血圧がある方:OCは禁忌ですが、ミニピルは服用できる可能性があります。
・前兆(目がチカチカするなど)を伴う片頭痛がある方:OCは脳卒中リスクのため禁忌ですが、ミニピルは代替として検討できます。
・授乳中の方:OCは母乳に影響する可能性があるため原則禁忌ですが、ミニピルは授乳中でも服用が推奨されています。
・長期間の安静臥床(入院や手術後など)が必要な方。

【重要】 ミニピルで服用が可能となる場合でも、最終的な判断は医師による詳細な問診と検査によって行われます。服用を希望される方は、必ず既往歴を正確にお伝えください。

ご予約から診察までの流れ

ご予約

当クリニックでは、お電話とWEBよりご予約・お問い合わせを受け付けております。

※WEBでは受付時間以外でも24時間365日ご予約いただけます。 
TEL:050-1720-1847 (9:00-13:00/13:00-17:00 日祝休診 ※毎週木曜は19:00まで診療)
予約制のため待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。

診察・検査

必要に応じて血圧測定や血液検査、子宮頸がん検診を行い、ピルを服用できる状態にあるかを医学的に確認します。ファボワールなどの低用量ピルは、血栓症リスクが比較的低く、初めての方にも処方されることが多い薬剤ですが、当院ではすべての患者様の安全性を個別に評価します。

服用指導と定期的な経過観察

服用開始後は定期的な経過観察が必要で、副作用の有無や体調変化をチェックします。 正しい服用方法(飲み忘れ時の対処法を含む)を指導し、服用開始後も血栓症の初期症状など、注意すべき症状がないかを定期的に確認します。この継続的な安全管理体制が、ピルを安心して長期服用するための基盤となります。

料金

ファボワール 1ヶ月分 3,300円 (税込み価格)
スリンダ錠 1ヶ月分 3,500円 (税込み価格)

処方には別途診察料がかかります。(診察料は500~1,500円程度かかります、時間や初再診により異なります。)

ソウクリニック四条烏丸の特長

1.女性の院長が在籍し、女性医師・女性スタッフが対応

女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添って女性医師がカウンセリングをいたします。婦人科は検査も女性スタッフが対応しておりますので、はじめて婦人科にかかる方も、安心してご相談いただけます。

2.完全予約制で待ち時間少なく快適な診療体験を

当クリニックは完全予約制のため、待ち時間も少なくスムーズに受診することができます。ご予約はお電話または24時間365日WEBにて受け付けております。診察時間は月曜日から土曜日までは朝9時半から5時まで、木曜日は夜7時まで行っております。また、お問合せ時の状況によっては、予約なしでも診察いたしますので、まずはお電話ください。

3.すべての年代のお悩みに幅広く対応

当クリニックの婦人科は、すべての年代の女性のお悩みに対応しております。
年齢とともに変化する女性のからだは、年代に応じてその悩みも変化していきます。しかし「何となくこういうもの」と我慢して疾患や不調のシグナルを見過ごしてほしくないため、気になることや不安なことなどを丁寧にヒアリングしております。医師からの説明も「分かりやすい」を心がけておりますので、ご安心ください。

よくある質問(FAQ)

Q:ピルを服用すると太ると聞きましたが本当ですか?

A: 低用量ピルの服用と長期的な体重増加との間に明確な因果関係はないとされています。服用初期に感じる体重増加は、ホルモンの作用による一時的なむくみであることが多いです。気になる場合は、むくみが起こりにくいとされる第3世代や第4世代のピルに変更することで対応できる場合があります。

Q:飲み忘れた場合、どう対処すれば良いですか?

A: 1日分(1錠)の飲み忘れであれば、気づいた時点ですぐに前日分を服用し、その日の分も通常通り服用してください(1日に2錠服用)。2日以上飲み忘れた場合は、避妊効果が低下するため、服用を中止し、医師に相談するまでコンドームで避妊を続けてください。

Q:授乳中でもピルを服用できますか?

A: 低用量ピル(エストロゲン含有)は、母乳の量や質に影響を与える可能性があるため、授乳中は原則として推奨されません。しかし、ミニピルであれば、そのリスクが低いため、授乳中の方でも服用できる場合があります。詳しくは医師にご相談ください。

Q:病院で処方されたピルと市販薬を併用しても大丈夫ですか?

A: 市販薬の多くは問題ありませんが、一部のサプリメントやお茶、また抗生物質や抗てんかん薬などはピルの効果を弱める可能性があります。他の薬を服用する際は、必ず医師または薬剤師にピルを服用していることを伝えてください。

Q:ピルの服用開始前に検査は必要ですか?

A: 安全に服用を始めるために、問診による禁忌事項の確認が最も重要です。また、当クリニックでは、血圧測定や必要に応じた血液検査を推奨しています。これらの検査は、ピルの服用が可能か、またより安全に続けるために必要な健康状態を把握するために不可欠です。

予約・お問い合わせ

私たちのクリニックは、女性の院長が在籍しており、女性ならではのお悩みやご不安なことも患者さんに寄り添ってカウンセリングをいたします。

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