乳頭の切れとは
乳頭の切れは、様々な原因によって引き起こされる乳房の一般的な症状の1つで、主に乳頭が割れたり、ひび割れたりする状態を指します。乳頭の切れは痛みを伴うことが多く、母乳育児の際の障害にもなりかねません。また、中には乳がんの初期症状として現れる場合もあります。
乳頭の異常は、乳がんの早期発見につながる重要な兆候と言えます。痛みを感じたら、早めの医療機関の受診をお勧めします。
乳頭が切れる原因
母乳育児関連
- 赤ちゃんの吸い方が浅い
- 乳頭の皮膚が薄い
- 乳頭の皮膚が乾燥している
対処法
- 清潔な水で優しく洗い、保湿ケアを行う
- 乳頭クリームの使用を検討する
- 赤ちゃんの吸啜(きゅうてつ)の仕方を確認し、母乳育児の指導を受ける
授乳時の乳頭の切れは、吸啜がうまくできていない、菌が入り感染している等の原因が考えられます。まずは清潔な水で優しく洗い、きちんと保湿ケアを行うことが大切ですが、熱を持っている場合や痛みを伴う場合は、医療機関を受診しましょう。
また、授乳姿勢が正しくない場合も乳頭の亀裂の原因となることがあります。正しく授乳できているか不安な方は、お気軽にご相談ください。
疾患
授乳していない時の乳頭の切れについて
授乳していないのにも関わらず乳頭が切れてしまう場合は、注意が必要です。
全身性の内分泌疾患や、乳がん等の可能性が考えられるため、症状が続く方は、早めの医療機関の受診をお勧めします。
乳頭の切れと乳がんの関連性
乳頭の切れの主な原因は、母乳育児に関連した局所的な問題や、感染症、全身性の内分泌疾患などが知られています。しかし、中には乳がんが背景にある場合もあります。
乳がんは乳房の上皮組織に発生する悪性腫瘍で、しばしば乳頭に変化を及ぼします。乳頭に生じる乳がん関連の症状には以下のようなものがあります。
- 乳頭の引っ込み
- 乳頭の変形
- 乳頭からの分泌物
- 乳頭の発赤、腫れ
- 乳頭の自発痛
これらの症状は、しばしば乳頭の亀裂を引き起こします。つまり、原因不明の乳頭の亀裂が続く場合は、乳がんの可能性を考慮する必要があるのです。
乳がんの初期症状としての乳頭切れ
乳がんが乳頭に及ぼす影響には2つのパターンがあります。
- 乳がん腫瘍が乳頭に直接浸潤し、乳頭を引っ込ませたり変形させる
- 乳管内に乳がん細胞が増殖し、乳管を閉塞させて乳頭の異常を引き起こす
このように、乳頭の異常は乳がんの初期症状として現れることがあります。特に、原因不明の乳頭の切れや持続する乳頭分泌物がある場合は、乳がんの可能性を念頭に置く必要があります。
乳がん患者さんにみられる乳頭症状
乳がんが進行すると、乳頭症状はより顕著になります。
乳頭の引っ込み:腫瘍の浸潤により乳頭が内側に引っ込む
乳頭の変形:腫瘍の圧排や牽引により乳頭の形状が変化する
乳頭分泌物:乳管内の乳がん細胞増殖により引き起こされる。しばしば血性を呈する
また、浸潤性乳管がんでは、乳頭びらんや潰瘍なども認められます。一方で、非浸潤性乳管がんでは、しばしば乳頭に症状がみられません。このように、乳がんの組織型や進行度によって、乳頭症状は多様です。
乳頭の切れは早期発見が肝心
乳頭の切れは、しばしば乳がんの初期症状として現れます。原因不明の乳頭の切れが続く場合は、専門医の診察を受けることが重要です。
乳がんは早期発見・早期治療が予後に大きな影響を及ぼします。そのため、定期的な乳房検診を心がけ、何か変化を感じたら迷わず受診することを勧めします。
お勧めする受診のタイミング
乳頭が切れていて、下記症状も併発している場合は、早めの医療機関の受診をお勧めします。
- 原因不明の乳頭の切れが2週間以上続く
- 乳頭の発赤、腫れ、膿の出現
- 乳頭の変形、引っ込み、自発痛がある
- 乳房にしこりや乳頭分泌物がある
来院から治療開始までの流れ
当クリニックでは、乳頭が切れている原因を特定するために、以下のような検査を行います。
※下記検査治療の流れはあくまで一般的なものであり、実際は患者さまの症状や状況により変わります。
診察
問診:症状の詳細、既往歴、家族歴などを確認します。
視診・触診:乳頭や乳房の形状、皮膚の変化、腫瘤の有無などを確認します。
検査
診察の結果、必要に応じて検査を行います。
マンモグラフィ:乳房のX線撮影を行い、腫瘤や石灰化の有無を確認します。
エコー(超音波検査):乳管の拡張や腫瘤の有無、性状を詳しく観察します。
上記機器を使用する検査のほか、その他の症状にあわせて、針生検や血液検査も行います。
針生検:異常が疑われる部位から組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。
血液検査:ホルモン異常や炎症の有無を確認します。
これらの検査結果を総合的に判断し、適切な診断と治療方針を決定します。
当クリニックは、女性院長の在籍のもと、乳腺外科では女性医師と女性スタッフのみで対応しておりますので、安心してご来院・ご相談いただけます。不安な症状のある方は、まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q:乳頭の切れの対処法は?
A: 清潔なケアと保湿が基本です。母乳育児の場合は授乳の仕方を見直し、感染症や基礎疾患がある場合は適切な治療が必要です。
Q:いつ医師に相談すべきですか?
A: 原因不明の乳頭切れが2週間以上続く、または症状が悪化する場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。
Q:乳がんが原因の乳頭切れと、そうでない場合の違いはありますか?
A: 乳がん由来の乳頭切れは、しばしば乳頭の変形や引っ込み、自発痛などの症状がみられます。一方、母乳育児関連の乳頭切れは局所的な症状が主体です。
Q:乳頭の亀裂の予防方法はありますか?
A: 原因が母乳育児関連の場合は、正しい授乳テクニックの習得、保湿ケア、刺激の少ない洗剤や化粧品の使用などが効果的です。基礎疾患がある場合はその治療も大切です。
Q:乳頭切れは治りにくいですか?
A:適切なケアを行えば、多くの場合2週間以内に治癒します。ただし、感染症や基礎疾患がある場合は治りが遅れることがあります。
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